請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 1527 件名 脳卒中対策基本法(仮称)の早期制定に関する請願
要旨  脳卒中は、寝たきりや要介護の状態となる最大の原因で、治療には我が国の総医療費の一割弱が費やされ、死因の第四位を占める疾患である。入院して治療を受けている患者はがん疾患の一・五倍、心臓病疾患の三・五倍を数え、正に国民病というべき病気である。脳卒中を起こすと、患者はたとえ死に至らなくても運動障害、認知機能障害などの後遺症に苦しみ、家族には精神的にも経済的にも大きな負担がかかり、家庭崩壊にもつながるなど大きな社会問題である。脳卒中の患者数は、現在二百七十九万人と推測され、二〇二〇年まで増加し続けると予測されている。脳卒中は、発症直後から一刻も早く治療を開始すれば、多くの生命が助かり、後遺症が軽くなる。しかし、脳卒中の症状や発症したときの対処の仕方が一般の人に知られていないため、治療開始が遅れ、命を失ったり、助かっても重い後遺症を残す可能性が高い現状がある。脳卒中は決め手となる治療法のない時代が長く続いた。現在では、脳梗塞の発作直後の薬物療法や、くも膜下出血への早期手術など有効な治療法が確立している。しかし、治療の行える病院へ迅速に救急搬送されないなど、消防行政、医療行政、教育行政などの垣根を越えた総合的な対策が欠如しているために、命を失ったり、重い後遺症を残す人が多い。脳卒中の医療(リハビリテーションを含む)は、急性期、回復期、維持期に分けられた制度の下にあって、それぞれの制度のはざまで途切れやすく、治療の効果のみならず生活の質の向上や社会参加の妨げとなっている現状がある。脳卒中を発症した人と家族のために、そして医療・介護にわたる社会福祉資源の負担軽減のためにも、一刻も早く総合的な対策に取り組まなくてはならない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、「脳卒中対策基本法(仮称)」を早期に制定すること。
   脳卒中対策立法化推進協議会が提案している脳卒中対策基本法要綱案に基づく「脳卒中対策基本法(仮称)」によって、政府・地方自治体・救急隊・医療従事者・医療保険者等が協力して、脳卒中を発症したらすぐ受診できる体制を築くこと。「脳卒中対策基本法(仮称)」によって、急性期、回復期、維持期と継ぎ目なく最新の医療・生活支援を受ける仕組みが全国的に整備され、脳卒中者と家族の生活の質の向上と社会参加が支援される仕組みを築くこと。(資料添付)

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