請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 953 件名 瀬戸内海環境保全特別措置法改正に関する請願
要旨  海で子供らが泳ぐ風景を失ってから、また、至る所で見受けられた貝掘りの風景が瀬戸内周辺の浜で失われてから長い時間がたった。国立公園指定第一号である瀬戸内海は、かつて世界の人々から東洋の楽園とたたえられ、魚湧く海、正に豊かな漁場であった。一九六〇年代から始まった海の大規模な埋立てや企業による油汚染、工場排水汚染、赤潮による魚介類被害などの反省から今日の瀬戸内法(瀬戸内海環境保全特別措置法)が誕生した。その第三条には「瀬戸内海が、わが国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地として、また、国民にとって貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものである」とうたわれている。しかし、瀬戸内法の下、水質については僅かに改善された地域が見られるものの、大阪湾、播磨灘、燧(ひうち)灘、広島湾などを始めとして多くの海域が悪化の一途をたどっている。さらに、生物たちの変遷をたどってみると、一九七〇年代に入ってカブトガニやスナメリが姿を消し始め、いそ場ではムラサキウニが激減、干潟ではハマグリが絶滅した。瀬戸内海沿岸や島々に持ち込まれる産業廃棄物が、人々の生活や健康を脅かし、埋立てにも利用されている。

 ついては、かつての生態系を回復し、美しく豊かな瀬戸内海を取り戻すため、次の点を主旨とする瀬戸内法の改正を行われたい。
一、瀬戸内海における埋立ては、瀬戸内海の汚染と破壊の元凶であることから、全面禁止すること。
二、瀬戸内海とその水系における産業廃棄物の持込みを全面禁止すること。
三、海底を掘削して生態系の破壊を進めてきた海砂採取を瀬戸内全県で全面禁止すること。

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