請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 780 件名 憲法二十五条に基づく権利としての福祉実現に関する請願
要旨  今、福祉の充実が求められているにもかかわらず、基本は自助などと自己責任を強調し、国民の権利であるはずの福祉を厳しく抑制しようとする動きが急速に強まり、具体化してきている。「健康で文化的な最低限度の生活を営む」権利(憲法第二十五条)としての福祉を国は保障するべきである。その権利保障を担う保育園や高齢者福祉施設、障害者施設などの労働者の低賃金と重労働が深刻になっている。厳しい実情と改善の必要性の認識は経営者、利用者など多くの人に広がっているにもかかわらず、一般労働者の平均月収約三十万円に対し福祉分野では三分の二程度という現状で、抜本的で継続的な対策は打たれてこなかった。求められる専門性と労働密度は高まる一方であるのに、雇用の非正規化が進み離職も激しい中、募集をかけても人が来ない実態になっている。人材が集まらずに開所できない施設も少なくない。同時に、必要な人が必要な福祉を受けられない事態も続いている。圧倒的に不足している認可保育所や特別養護老人ホームなどの基盤整備が遅れ、多くの人が待機を余儀なくされている状況が深刻化し、「福祉は権利」の保障と大きくかけ離れている。「福祉は権利」を保障する予算の財源確保には、所得の低い人ほど負担が厳しくなる消費税増税ではなく、社会的な責任のある大企業や高額所得者など払うことのできる力に応じた応能負担を原則にした課税を強めていくべきである。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、福祉政策は、憲法第二十五条に基づく国民の権利を保障し、自己責任でなく国の責任で充実すること。
二、社会福祉施設・事業での賃金・労働条件を国の責任で大幅に改善すること。
三、認可保育所や特別養護老人ホームなど、圧倒的に不足している福祉の基盤整備を公費で緊急に進めること。

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