請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 60 件名 健全な飲酒環境の整備に関する請願
要旨  国の規制緩和政策による酒類小売業免許の要件緩和がなされた結果、需給調整規制廃止の閣議決定がなされた当時(平成九年度)十六万六千八百八十三場あった酒類販売場が、ピーク時(平成二十年度)には二十万一千八百七十四場にまで急増し、その後、過度な価格競争等により平成二十四年度には十八万七百八十一場にまで減少している。その中で、古くから地域に根ざした街の酒屋も、過度な価格競争等に飲み込まれ、規制緩和以降、平成十年三月三十一日から平成二十五年六月までの間に、全国の組合員で、転廃業・倒産した店舗が七万九百四十九件、自殺・失踪等が三千六百七十件にも上り、現在もその数は増えているのが実情である。その一方では、未成年者の飲酒や飲酒運転、アルコール依存症等の社会的問題が多発しており、酒類小売業免許の在り方や、酒類販売管理等に係る社会的要請への対応が強く求められている。このような状況において、酒類を取り巻く環境が健全な状態でないことは明らかと言える。このような状態にある酒販制度を改善し、健全かつ適切な飲酒環境が整備されることを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、特殊性を有する酒類の危険な価格競争を収束させるべきである。酒類は致酔性・習慣性を有し、かつ、担税物資である特殊性を有している。酒類の過度な価格競争は、大量飲酒などの社会的問題を招く。さらに、清涼飲料水に近い価格の酒類は、未成年者の飲酒問題につながり、治安の悪化や深刻な家庭内問題などの要因となる。国は、特殊性を有する酒類の危険な価格競争を終わらせるよう努めること。
二、小売酒販組合が行う公益活動は、全酒類小売業者が支えるべきである。社会貢献活動や国への協力を行っている「小売酒販組合」は、昔ながらの中小零細酒販店によって、支えられている。公益活動は、全業者によって運営されなければ不公平であり、国は、全酒類小売業者が共に公益活動を行う仕組みづくりをすること。
三、規制緩和の名目の下、酒類小売業免許が実質自由化された結果、地域に貢献していた組合員酒販店約七万一千が倒産・転廃業、約三千七百人が自殺・失踪をしている。街の酒屋は、酒類の特殊性を理解し、飲酒環境整備や販売管理の確保に力を注いできた。また、地域の消費者から得た利益を地域に還元すべく行っている公益活動は、何にも増して消費者から信頼を得てきた。国は、地域社会を下支えしてきた、中小零細酒販店を狙い撃ちした規制緩和を改め、酒類小売業免許の要件強化の検討を行うこと。

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