請願

 

第185回国会 請願の要旨

新件番号 1055 件名 難病、小児慢性疾患、長期慢性疾患の総合対策に関する請願
要旨  難病といわれる病気は、五千から七千もある(厚生労働省調べ)といわれている。多くの患者が、原因不明の痛みや症状に悩まされ、社会生活上の制限を余儀なくされている中、国の研究対象になっているのは、難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野の百三十疾患と研究奨励分野の二百三十四疾患(平成二十三年度)にすぎず、患者の医療費負担の軽減策として実施されている特定疾患治療研究事業の対象は五十六疾患に限られている(平成二十四年八月現在)。また、児童の健全育成を目的に先天性疾患児や小児がんなどの小児期の慢性疾患児を対象に研究と医療費助成を行っている小児慢性特定疾患治療研究事業では、十一疾患群五百十四疾患(平成二十四年八月現在)を対象としているが、症状が改善せず治療は続いても二十歳の誕生日を過ぎると医療費助成は打ち切られる。これらの患者の多くは、原因が分からずに治りにくい症状による苦しみとともに、先の見えない苦しみを抱え、働く自信をなくして経済的にも不安定な生活を余儀なくされる場合が少なくない。効果的な薬が登場しても、高額な薬代を継続して払い続けることができずに治療を中断してしまうことも多い。平成二十四年八月、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会は「今後の難病対策の在り方(中間報告)」をまとめ、法制化も視野に総合的な難病対策の実現に向けて動き出した。国会でも新しい難病対策の実現を目指す超党派国会議員連盟が設立された。この機会に、新しい難病対策、小児慢性疾患、長期慢性疾患対策を早急につくりあげ、患者が安心して治療を受け、地域で人間としての尊厳を持って生活していけるよう求める。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、医療、福祉、年金、介護、就労支援などを含めた総合的な難病対策の実現を急ぐこと。
二、高額療養費制度の見直しを行い、患者負担を軽減すること。生涯にわたって治療を必要とする難病や長期慢性疾患の医療費助成施策の充実を図ること。
三、難病・慢性疾患の子供たちの医療費助成制度の拡充、特別支援教育の充実を進めること。特に小児慢性特定疾患治療研究事業対象者の大人への移行期支援の充実を図ること。
四、全国どこに住んでいても我が国の進んだ医療が安心して受けられるよう、専門医療の充実を図るとともに、医師、看護師、医療スタッフの不足による医療の地域不平等の解消を急ぐこと。
五、都道府県難病相談・支援センターの活動の充実と患者・家族団体の活動を支援し、難病問題についての国民的な理解を促進するため、全国難病相談・支援センターの設置を検討すること。

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