新件番号 | 994 | 件名 | 関越道高架下において練馬区の高齢者施設等の建設の占用を認めないことに関する請願 |
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要旨 | 国が道路高架下の利用を抑制から活用へと転換したことを機に、東京都練馬区は関越自動車道の高架下(同区大泉学園町)に高齢者センター、リサイクルセンター、倉庫の建設を計画している。当該地は、大気汚染、騒音、振動、日照など劣悪な環境で、特に高齢者施設の建設地に適切な場所とはいえない。施設の出入りには側道を横断しなければならず、交通事故も心配される。関越高速道路は建設から四十年以上が経過し、老朽化が進み当該高架下ではコンクリート片の剥落も起きている。東日本大震災や中央道笹子トンネル事故を受け、構造物の安全性や高架下を建築物で塞ぐことによる橋脚や道路の保守管理への影響も心配される。そもそも当該地は、関越道路建設に当たって地域分断や環境の悪化を避けるため、盛土構造ではなく高架となった経緯があり、昭和四十一年の東京都知事の道路公団総裁宛て協議書も現存している。国土交通省は、高架下の占用許可基準として「都市分断の防止又は空地確保を図るため高架の道路とした場合でないこと」としており、当該地が占用許可の対象にならないことを明らかにしている。また、道路法では「道路の敷地外に余地がないためにやむを得ないものである場合に許可を与えることができる」としている。練馬区が当該地周辺で他に用地を探した経緯は不鮮明である。練馬区の計画は、高架の橋脚が林立する間を通路、廊下でつなぐ設計となっている。国土交通省の占用許可基準では、「橋脚から一・五メートル以上空けること」とされており、通路はバリアフリー法の基準を満たすことができず、車椅子を通すこともできない狭い通路になってしまう。逆に通路を広げるなら、壁面と橋脚の間は国土交通省の占用許可基準より狭いものになってしまう。練馬区は、高齢者センター等の建設について高架下の占用許可申請を来年度に行う予定である。これに先立ち、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構は、本年一月当該高架下の用途を「事務所・駐車場等」とする高架下利用計画を策定した。その際行ったパブリックコメントでは、二百三十四筆中、二百三十三筆が計画案への反対や見直しを述べ、賛成は一筆のみという結果であった。区民から意見を公募しながら、その結果を無視することは許されないことである。練馬区は立案時にも地域住民の意見を聞くこともなく一方的に街づくりを進めてきた。今後、練馬区から占用許可申請が出されれば日本高速道路保有・債務返済機構、国土交通大臣が審査して許可、承認の判断を行うことになる。地域では現在でも住民の合意が形成されているとはいえない状況である。二〇一一年三月の大震災以降、国土交通省は高速道路の耐震基準や高架下利用の見直しをしていない。行政の仕事は、人の命の安全を第一に考慮することである。 ついては、次の事項について実現を図られたい。 一、関越自動車道高架下における東京都練馬区の高齢者センター等の建設の占用申請を認めないこと。 |