請願

 

第185回国会 請願の要旨

新件番号 720 件名 アスベスト被害根絶に関する請願
要旨  じん肺は、最古にして今なお最大の職業病である。いまだに二万人近くのじん肺有所見者がおり、毎年新たに五百人を超える最重症患者が認定されている。石炭じん肺やトンネルじん肺など国の加害責任は判決によって明確になっている。ILO(国際労働機関)・WHO(世界保健機関)は、二〇一五年には世界中からのじん肺根絶と各国政府によるじん肺根絶計画の策定を提唱している。日本も、一刻も早くじん肺法の改正を含む抜本的な制度改革に取り組むことが強く求められている。アスベストは、じん肺の原因だけでなく、強い発がん性を有することが明らかとなっていたが、国が十分な対策を取らなかったため、多数の被害が発生している。労働安全衛生法施行令改正により二〇〇六年に石綿使用等が原則禁止となったが、今後もアスベストを使用した建物の改修、解体工事等による大量の被害発生が危惧される。また、東日本大震災によって広範囲にわたり建物等損壊の被害が発生し、瓦礫(がれき)や建物等の撤去、解体、運搬等の作業が長期間にわたって必要となり、これらの作業によるアスベスト粉じんについて、作業員やボランティア、付近住民に対する曝露(ばくろ)防止対策を十分に取る必要が強くなっている。二〇〇六年三月に施行された「石綿による健康被害の救済に関する法律」は、二〇一〇年七月に救済対象となる指定疾病が拡大されたが、中皮腫と肺がん、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺、びまん性胸膜肥厚の四つに限定され、救済給付金も労災法や公健法に比して低額に抑える等不十分な内容のままである。じん肺やアスベスト被害者を早急に救済するための基金制度の創設、取り分け被害者が多発しているトンネルじん肺、建設アスベスト被害の基金の創設は急務である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、「石綿による健康被害の救済に関する法律」を抜本的に改正して「石綿対策基本法」を制定し、公害健康被害補償法による補償と同等にするなど救済内容を充実させ、予防対策も十分なものとすること。

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