請願

 

第185回国会 請願の要旨

新件番号 138 件名 日本の公的医療保険制度を破壊するTPP参加への交渉を断念することに関する請願
要旨  日本のTPP参加が十一か国で承認され、交渉会議を経て年内に協定を結ぶ見込みとされている。新聞・テレビなどマスコミは、TPP参加が決まったことのように報道している。TPP参加による影響は、農業、食の安全、医療、教育ほか広範囲に広がり、国の在り方を大きく変えてしまう。これまで、国民の要求と運動で整備してきた日本の様々な安全基準や制度が、アメリカなど外国企業の利益を損なうとされれば、ISD条項で規制撤廃を求める訴訟が起こされ、国の主権よりも外国企業の利益が優先される。四月の日米事前協議でも日本はアメリカの要求のままに一方的に譲歩を重ねたが、政府は国内向けにはアメリカの要求を過小に見せかけている。交渉内容は国民・国会議員にも秘密とされている。安倍政権は、今後も交渉次第で日本の国益は守れると吹聴(ふいちょう)しているが、交渉に例外はなく、後発の日本は交渉をリードするどころか、これまでの合意事項を丸のみしなければならない。TPP参加によって日本の医療に営利(もうけ)主義が持ち込まれる。混合診療の解禁や、医薬品や医療機器価格の規制緩和による医療費の高騰、公的医療保険のカバーする範囲を狭めて医療費患者負担の増大(例えば軽度の医療は七割~全額負担、七十歳以上の窓口負担を倍の二割に、軽度デイサービスは全額自己負担ほか)、そこに民間保険産業や営利企業が更に大きく進出する構造である。あわせて、今回の消費税増税を含む成長戦略と社会保障制度改革(削減)の本当の狙いもそこにある。これでは国民皆保険制度が空洞化し、今以上に医療に格差が広がり、結果的に国民全体の健康度は低下してしまうことになる。日本の医療が、OECD加盟諸国に比べてはるかに少ない医師数、看護師数にもかかわらず、低い乳幼児死亡率を含め国民の高い健康度を維持してこられたのは、憲法第二十五条に基づいて医療に非営利原則が貫かれ、国民皆保険制度が守られてきたからである。いつでも、誰でも、どこでも、安心して必要な医療が受けられるために、日本の医療の非営利原則、公的医療保険制度を破壊するTPP参加に強く反対する。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、日本の公的医療保険制度・国民皆保険制度を破壊するTPP(環太平洋経済連携協定)参加への交渉を断念すること。

一覧に戻る