請願

 

第183回国会 請願の要旨

新件番号 1325 件名 学生・保護者の教育費負担軽減と私立大学への公費助成増額に関する請願
要旨  日本の高等教育において、私立大学・短期大学(以下「私立大学」という。)には学生全体の約七五%が学んでおり、全体の大学数における私立大学の割合は八〇%を占め、高等教育分野において大きな役割を果たしている。しかし、現在の私立大学は危機的な状況に置かれている。特に、私立大学に通う学生の実態は深刻となっており、「高い学費で親に苦労をかけている」「将来返せるか不安で奨学金が借りられない」「学費のせいで大学進学をあきらめた」など、切実な声が多数寄せられている。また、少しでも親の負担を減らすために、学生はアルバイトに追われて授業にも集中できず、就職活動のために大学の授業に出ることもままならない。このような厳しい状況を打開することは緊急の課題である。こうした状況に拍車を掛けている要因は、私立大学にかかる経常費を二分の一まで補助するという国会の附帯決議があるにもかかわらず、国からの補助金は一九八〇年をピークに減少し続け、非常に低い水準(一〇・九%・二〇〇八年度)にとどまっていることにある。また、国立大学と私立大学との間で国から投入される財政に、大きな格差があることも見過ごすことのできない問題であり、格差は早急に是正されるべきである。さらに、世界各国の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的財政の支出状況を見ると、日本はOECD加盟国の中で低い水準になっており、その結果、日本の教育支出に占める家計負担(私費負担)は、OECD加盟国の中でも高い負担割合となっている。そもそも教育を受ける権利は人類普遍の人権であり、日本国憲法を始め世界人権宣言や国際人権規約など国際的な諸条約にも明記されているように、高等教育は全ての人に保障されるべきであるという考え方は国際的な常識である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国会の附帯決議にのっとって、一般補助を軸にした私立大学への経常費二分の一補助を実現すること。
二、現在の高学費負担を直接的・実質的に軽減するような措置(給付制奨学金制度の創設や私学教育費減税の実施など)を講じること。
三、各大学が独自に実施する学費減免、奨学金貸与などの支援が十分に行えるような補助を講じること。
四、無利子奨学金枠の拡大を基本とした奨学金制度の充実・改善を進めること。

一覧に戻る