請願

 

第183回国会 請願の要旨

新件番号 1291 件名 現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化に関する請願
要旨  労働力調査(総務省)によると、二〇一二年三月の完全失業率は四・五%、完全失業者数は三百七万人で、リーマンショック以降の長引くデフレや東日本大震災によって、雇用失業情勢は深刻な状況が続いている。労働基準監督官は、労働関係法令に基づいてあらゆる事業場に立ち入り、法令に定める最低基準を事業主に守らせる業務を担っているが、第一線で監督業務に従事する労働基準監督官は全国で二千人に満たず、六百万ともいわれる事業場をつぶさに監督することは困難な状態となっている。関越自動車道で二〇一二年四月に起きた、高速ツアーバスの事故は、七人もの尊い命が失われ、バス会社の運行管理や労働時間管理等の問題が指摘されている。このような事故を起こさないためにも、労働基準監督官の増員による、労働関係法令遵守の徹底が求められている。また、全国の公共職業安定所には、連日多くの求職者・労働者・事業主が訪れ、雇用均等室でもセクハラやパワハラの相談等が急増している。このように、労働者・国民の雇用不安の解消や、労働条件をめぐる諸課題の解決は喫緊の課題となっている。しかし二〇一二年四月には、労働行政の職員が百二十七名削減され、必要な雇用対策を執行するに見合った人員の確保を困難にしており、加えて、政府の新規採用抑制方針により、定員に見合った職員の採用すらままならず、第一線の職場には欠員が生じている。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、リーマンショック以降のデフレ・不況に加え、震災や円高の影響により、雇用失業情勢は一層深刻化する中、労働者・国民の雇用の確保・安定、適正な労働条件の確保・向上を図ることが強く求められている。ILO条約や日本国憲法の趣旨にのっとり、労働者・国民のナショナルミニマムを十全に保障するための国の責任を明確にするとともに、職員の増員等によって労働行政体制を整備・強化することが必要である。
 1 東日本大震災からの復興対応を含め、労働者・国民の権利を保障するため、国が責任を持って雇用・労働施策を充実させること。
 2 大幅に増加する行政需要に対応し、労働者・国民の権利保障を図るため、公共職業安定所(ハローワーク)や労働基準監督署、都道府県労働局の体制整備を行うこと。

一覧に戻る