請願

 

第183回国会 請願の要旨

新件番号 1236 件名 てんかんのある人とその家族の生活を支える教育に関する請願
要旨  てんかんは脳の病気で、全国に百万人の患者がいる。医療の進歩、早期診断・早期治療によりおよそ七〇%の人が、発作に悩まされない生活を送ることができるようになったが、現代の医療では発作を止めることのできない人、いまだに適切な医療を受けられない患者がいる。また、発作の止まっている人でさえ、不安・鬱や行動障害などの併発症、医療費や生活の問題、学校や仕事の問題など、様々な悩みを抱えていることが多く、その上、根強く残っている世間の誤解や無理解に苦しめられる場合も少なくない。てんかんのある人は、修学、就職、結婚など人生の多くの場面で、てんかんが障壁となる。さらに、二〇一一年に発生した東日本大震災は、てんかんのある人が日常生活を送る上での不安や課題を浮き彫りにした。これまでの制度は、必ずしもてんかんの障害の特徴に合ったものではなく利用しやすいものではなかった。現在政府は、障害者を支援するための新しい制度の検討を行っているが、新たな制度で、安全で安心できる生活が国民に等しく保障されることを求める。特に、二年以上発作が止まっていないなどの理由で自動車運転免許を所持できない病状の人は、そのまま職を失う、又は職に就けない状況に陥るため、ハローワークが事業主をしっかり指導できるよう、障害者雇用促進法に関連する制度の改正を求める。二〇〇八年の第百六十九回国会で提出した請願五項目全てが採択されたにもかかわらず、その後一つの施策も実現していない。
 ついては、てんかんのある人とその家族が参加しやすい社会の実現のため、次の措置を採られたい。

一、教育に関しては、
 1 学校でのてんかんの知識を普及すること。
    教員養成課程、特別支援教育研修、教員免許更新研修などあらゆる教員の研修に、てんかんに関する教育課程を設けること。また、てんかんに関する補助教材を全校に配布すること。その上で、保健体育の時間に疾患や障害の理解を深めるためのカリキュラムを取り入れること。差別のない社会、思いやりのある社会を築くためにも、学校教育は重要である。
 2 学校で判断できる坐薬(ざやく)挿入や頓服服用のガイドラインを設けること。
    てんかんのある子が必要とする、発作時の坐薬の挿入や頓服の服用が、医療行為として学校において制限される事例が、全国で見られる。そこで、保護者から依頼があった場合には、教員全員が基本的な研修を行った後で、学校の判断により行えるように、坐薬挿入や頓服服用といった日常的支援について、日本てんかん学会の提言を参考に国の責任においてガイドラインを設けること。

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