請願

 

第183回国会 請願の要旨

新件番号 1067 件名 気象事業の整備拡充に関する請願
要旨  二〇一一年三月に発生した東日本大震災は、マグニチュード九・〇という日本の歴史上最大規模の地震となった。これにより発生した津波は東北地方を中心に、北海道から関東沿岸までの広い範囲に壊滅的な被害をもたらし、死者・行方不明者は約二万人近くに達し、改めて防災事業の拡充・強化が求められている。気象庁の事業は、気象や地震などを常時観測・監視し、その観測成果や現象の推移予測を適時・的確に広く周知することによって、災害を未然に防ぎ、また軽減させることにある。二〇〇五年神戸で開かれた国連防災世界会議では、スマトラ沖大地震を教訓に「防災活動は国の第一義的責任において行われるべきもの」と決議された。こうした中で、気象庁は、緊急地震速報、噴火警報、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報、異常天候早期警戒情報などの発表を新たに始めた。一方、職員数や事業予算は毎年減らされており、観測施設の維持管理や、技術水準の確保にも苦慮する状況に陥っている。また、気象の観測・予測になくてはならない気象衛星の打ち上げにも巨額の費用がかかり、予算を圧迫している。過去の自然災害の教訓から、注意報・警報などの防災情報を高度化し活用していくためには、予報精度の向上にとどまらず、自然現象の確実な捕捉と防災関係機関への確実な情報の伝達、そして、利用者に対して十分な支援・指導ができることが必要であり、加えて、地域の産業や日常生活に役立つ気象情報についても、国の直接的な責任で提供すべきである。また、近年、国際的な関心を集めている地球環境問題についても、一層の体制強化が求められている。これらを実現するため、自然現象の観測監視や調査研究、数値予報を始めとする技術開発など、気象庁における基盤となる業務を充実・強化するよう求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国の直接の責任で、より精度の高いきめ細かな防災情報、暮らしや地域産業に密接に関わる気象情報が提供できるよう、気象事業全般の基盤を強化すること。

一覧に戻る