請願

 

第183回国会 請願の要旨

新件番号 830 件名 建設労働者の労働条件向上に関する請願
要旨  東日本大震災から一年十か月が経過したが、避難生活者が約三十二万人、がれき処理は岩手県で二四%、宮城県三一%、福島県一二%と復興に向けた取組は遅れている。また、現場では手抜き除染や原発作業員に危険手当が支給されないなど様々な問題が発生している。大切なのは、被災住民を主体とした復興事業を実践することであり、その担い手である労働者が正当な報酬を受け取り、人間らしい労働条件で働くことである。地域の建設産業は、その存続自体が危ぶまれるほど危機的な状況にある。その原因は、ダンピングなど激しい価格競争による仕事確保の困難さや受注しても利益の上がらない公共工事の実態、重層下請構造の下で十分な利益を確保できないことなどから倒産や廃業に追い込まれているためである。さらに、低賃金・劣悪な労働条件によって、労働者の離職が相次いでいること、次代を担う若い労働者が建設産業に入ってこないことにある。追い打ちをかけるように国土交通省が主導する「社会保険未加入対策」によって、一層の淘汰(とうた)が行われようとしている。必要なのは、地域建設業の再生と将来に向けて発展していくための施策を実施することである。そのために、国土交通省の出先機関を始めとした発注官庁の役割は大きなものがあり、公共事業を維持・補修、老朽化対策などに抜本的に転換することも求められている。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、東日本大震災・原発事故からの復旧・復興に関連して
 1 福島第一原子力発電所事故の収束に向けた作業に従事する労働者の放射線被ばくを始めとした労働安全管理を国の責任で行うこと。
 2 被災者支援の観点から、復旧・復興工事等への優先的雇用を確保するとともに、国の責任で公的な震災特別就労事業を創設すること。また、従事する労働者に金額を明示した適正な賃金を現金で支払うとともに、「危険手当」未払など不法・無法を許さず適正に支払われたことを確認する監視体制も確立すること。労働者に支払う適正な賃金は、最低でも公共工事設計労務単価を上回ること。
二、建設産業の再生に関連して
 1 国はILO九十四号条約を早急に批准するとともに、公契約法を制定すること。

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