請願

 

第183回国会 請願の要旨

新件番号 806 件名 学費負担軽減と私大助成の大幅増額に関する請願
要旨  私立大学・短大(以下「私立大学」)には、日本の大学生・大学院生の約七五%に当たる約二百二十七万人が学んでおり、私立大学は全国各地で多様な教育・研究を担い、日本の高等教育において欠かすことのできない大きな役割を果たしている。しかし政府は、三十年以上にわたり私立大学への補助(以下「私大助成」)を削減し、非常に低い水準に抑え込んできた。国の大学への予算を学生一人当たりに換算した額は、二〇一一年度で国立大学が百八十五万円であるのに対して私立大学は僅か十四万円、国立の十三分の一でしかない。私大助成が余りに低いため、私立大学の学費は国立大学の一・六倍と高額で、初年度納付金は百三十一万円以上にも上る。その上、奨学金制度が貧困なために、私立大学生と保護者の学費負担は非常に重く、学生の多くは生活費を捻出するためにアルバイトに追われている。また、私立大学の教員一人当たりの学生数は国立大学の三倍近くに上るなど教育環境の整備も遅れており、国公立大学と比べて私立大学の教育・研究条件は極めて不十分である。政府は高等教育費負担を学生・保護者に押し付ける一方、高等教育費支出を低く抑え、その水準は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最低となっている。また日本の奨学金は、他国から見れば単なるローンでしかなく、学費負担が大変重い特異な国となっている。このような政策によって、憲法に保障された「教育を受ける権利」「教育の機会均等」が根底から脅かされる状況となっており、さらに東日本大震災・原発事故によって一層深刻なものとなっている。私立大学の過重な学費負担が少なくとも国公立大学程度にまで軽減されること、私大助成の増額により私立大学の教育・研究条件が改善・充実されることを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、私立高校生と同様に、私立大学生の学費負担を大幅に軽減する助成制度を新設すること。
二、給付型奨学金制度を創設するとともに、無利子奨学金を希望者全員が受給できるよう拡大すること。
三、卒業後、所得が一定額に至るまで奨学金の返済を猶予する制度を拡充すること。
四、経済的に苦しい学生に対する授業料減免や奨学金支給を全ての私立大学で実施できるよう補助を行うこと。
五、私立大学の経常費に対する補助を、私立学校振興助成法制定時の参議院附帯決議どおり、速やかに二分の一とするよう増額すること。

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