請願

 

第183回国会 請願の要旨

新件番号 343 件名 一般乗用旅客自動車運送事業法の早期制定に関する請願
要旨  ハイヤータクシー産業は、規制緩和政策の導入により、著しい供給過剰と熾烈(しれつ)な低運賃競争に陥り、交通事故の急増、渋滞や環境への悪影響をもたらし、公共交通機関の社会的使命というべき輸送の安全すら危機的状況となった。安全輸送を確保する上で最も重要な運転者の賃金・労働条件は極限まで悪化し、長時間・過重労働を強いられながら生活保護支給基準を下回る事態も全国各地で生起した。こうしたハイタク産業の疲弊・劣化した状況を食い止めるための応急処置として、二〇〇九年にタクシー適正化・活性化特別措置法が衆参両院で全会一致で成立した。特定地域に指定された地域では、供給過剰の是正に向けた減車の努力が重ねられ、実車率・日車営収の改善が図られている地域も出現し、下限割れ運賃も全国的に減少している。しかし、需給の面では、適正車両数との乖離(かいり)は依然として大きいだけでなく、減車を拒む事業者の存在が不平等感を拡大しており、運賃面でも下限割れ運賃を完全に排除できていない。また、国土交通省の指導による運賃の適正化に向けた運賃改定に対し公正取引委員会が不当に介入する事態も起きており、何より、運転者の労働条件については改善した実感が全く持てない。こうした現状は特別措置法の限界を如実に示しており、特定地域のほぼ全ての地域が再指定された事実は、取組の不十分さと制度そのものの弱点を証明している。
 ついては、ハイタク産業の構造的問題を抜本的に解決し、利用者・国民に安全で信頼される公共交通としてのハイヤータクシーサービスを提供するため、次の事項について実現を図られたい。

一、一般乗用旅客自動車運送事業法を早期に制定すること。同法には以下の事項を盛り込むこと。
 1 一般乗用旅客自動車運送事業の「許可」を「免許」に改めるとともに、更新制(三年ごと)を導入すること。
 2 一般乗用旅客自動車運送事業に係る需給調整措置を復活させること(免許基準への需給要件の追加、営業区域ごとの適正台数の設定(三年ごとに見直し)、免許の更新の際の減車措置(法人タクシー事業者のみ)、増減車の認可及び事業の休廃止の許可)。
 3 個人タクシー事業者を法律に位置付けるとともに、営業譲渡を禁止すること。なお、経過措置として、既存の個人タクシー事業者による営業譲渡を一定期間認めること。
 4 一般乗用旅客自動車運送事業の運賃・料金は、独占禁止法の適用除外となるよう、国土交通大臣が営業区域ごとに定めた適正運賃等の範囲(三年ごとに見直し)内でなければならないとすること。
 5 輸送の安全に係る旅客自動車運送事業運輸規則の一部規定を法律に引き上げるとともに、運転者の過労防止等に関する規制を新設すること。また、運転者の営業費用などの各種負担を排除するものとすること。
 6 タクシー運転者の登録制を全国的に実施するとともに、事業者団体及び運転者団体が推薦する者を役員として選任する全国・地方事業者指導事業実施機関がタクシー事業者に対する法令遵守の指導等の事業を行うとすること。

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