請願

 

第180回国会 請願の要旨

新件番号 1329 件名 てんかんのある人とその家族の生活を支える教育に関する請願
要旨  てんかんは脳の病気で、全国に百万人の患者がいる。早期診断・早期治療によりおよそ七〇%の人が、発作に悩まされない生活を送ることができるようになったが、誰もが適切な医療を受けているとは限らない。現代の医療では発作の止まらない人はもちろんのこと、発作の止まっている人でさえ、不安・鬱や行動障害などの併発症、医療費や生活の問題、学校や仕事の問題など、様々な悩みをもたらすことがある。その上、世間の誤解や無理解も根強く残っており、てんかんのある人は、人生の多くの場面で、てんかんが障壁となる。昨年は、東日本大震災もあり、日常生活を送る上での一層の不安や課題が明らかになった。政府は、障害者を支援するための新しい制度の検討を行っているが、これまでの制度は、必ずしもてんかんの障害の特徴に合ったものではなく、てんかんのある人にとって使いやすいものではなかった。新たな制度で、同じ国民として安全で安心できる生活が保障されることを求める。二〇〇八年の第百六十九回通常国会で、提出した請願五項目全てが採択されたにもかかわらず、一つとして施策として実現したものがない。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、教育に関しては、
 1 学校でのてんかんの知識を普及すること。
    教員養成課程、特別支援教育研修、教員免許更新研修などあらゆる教員の研修に、てんかんに関する教育課程を設けること。てんかんに関する補助教材を全校に配布すること。その上で、保健体育の時間に疾患や障害の理解を深めるためのカリキュラムを取り入れること。差別のない社会、思いやりのある社会を築くためにも、学校教育は重要である。
 2 学校で判断できる坐薬(ざやく)挿入や頓服服用のガイドラインを設けること。
    てんかんのある子が必要とする、発作時の坐薬の挿入や頓服の服用が、医療行為として学校において制限される事例が、全国で見られる。そこで、保護者から依頼があった場合には、教員全員が基本的な研修を行った後で、学校の判断により行えるように、坐薬挿入や頓服服用といった日常的支援について、日本てんかん学会の提言を参考に国の責任においてガイドラインを設けること。

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