請願

 

第180回国会 請願の要旨

新件番号 927 件名 国民が安心して暮らせるための社会保障制度の確立に関する請願
要旨  我が国は、急激な人口減少と高齢化・少子化が同時進行し、高齢者層が異常に膨れ上がるいびつな人口構成となっており、社会保障予算が膨張し続けている。こうした状況の下で、政府・与党社会保障改革検討本部は、二〇一〇年十二月、年金など社会保障拡充と財政確保を同時に進める目標を掲げてその基本方針を決定し、二〇一一年六月にこの具体案をまとめた。この社会保障改革のベースになるのは、社会保障改革に関する有識者検討会が提出した報告書である。この報告書に示されている改革の第一の柱は、主に高齢者に集中してきた社会保障給付を、日本社会の持続性を高めるため現役世代など全世代に広げ、子供・子育て支援や若年層の就労支援を「未来への投資」として位置付け、拡充を求めていることである。第二の柱は、社会保障の費用と給付は国債など借金に頼っており、「ゆがみが生じている」と強調し、負担の在り方に言及していることである。また、厚生労働省は、現行の後期高齢者医療制度は廃止し、二〇一三年に新高齢者医療制度を導入するとした最終案をまとめた。この案の内容は、税金の投入や現役世代の負担を増やし、七十五歳以上が支払う保険料の上昇を抑え、その一方で、七十歳から七十四歳の高齢者の窓口負担割合を一割から二割に高めるというものである。この案は、給付と負担の問題が顕在化していることを示している。将来を展望するとき、若年層や主婦などに対してきめ細かい職業訓練で就労に結び付けることや共働きを支援する施策を充実させることは極めて大切である。また、社会保障とその財源の将来像を示すことも急務であり、現在非常に危惧されている、将来世代に巨額の負担を強いることは避けなければならない。年金・医療・介護等の社会保障充実のためには応分の負担を否定するものではない。社会保障制度の在り方については、こうした給付と負担の問題や世代間格差を含めた極めて深刻な課題に向き合い、将来的に国民が安心して暮らせるための検討を深めていく必要がある。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、国民の安心、安定した暮らしを保障するため、「社会的セーフティネット」としての社会保障制度を確立すること。
二、安心と信頼のできる年金・医療・介護保険制度と持続可能な財政基盤の確立を図ること。
三、年金支給開始年齢の引上げに伴う定年年齢の延長と、意欲を持って働き続けることのできる労働環境の整備を進めること。
四、将来にわたって維持できる社会保障制度の見直しに当たっては、給付と負担の世代間格差の是正に配慮した議論を深めること。

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