請願

 

第179回国会 請願の要旨

新件番号 495 件名 学費負担の軽減と私大助成の大幅増額に関する請願
要旨  現在、日本の私立大学・短大には、大学生全体の約七五%(約二二万四千人)が学び、全体の大学数に占める私立大学の割合は八〇%を占め、私立大学は高等教育分野において名実共に大きな役割を果たしているが、危機的な状況に置かれている。私立大学の初年度納付金は約一三一万円で、受験費用や住居費、月々の仕送り額などを合わせると三〇〇万円近い費用が入学する年に必要となるため、父母にとって教育費は重い負担となっている。また、学生も家計における教育費負担の軽減と生活費を捻出するためアルバイトに追われ、さらに就職活動への対応で授業に出席することもままならない。このような状況の大きな要因として、海外諸国に比べて教育に対する国の財政支出が日本は極端に低いことがある。国内総生産(GDP)に占める高等教育機関に対する財政支出の状況を見ると、日本はOECD加盟国中、下から二番目である結果、高等教育段階では、私費負担(家計負担)が五三・四%となっており、加盟国中、最も高い。また、一九七五年に私立学校振興助成法が成立した際、私立大学への経常費補助(教育・研究の充実や学費負担の軽減などに充当)を「できるだけ速やかに二分の一とするよう努める」ことが、国会の附帯決議で採択されたにもかかわらず、私立大学の経常費に対する補助金の割合は、二九・五%(一九八〇年)あった水準から今日では僅か一〇%台にまで落ち込んでいる。これらの状況が、現在の学費高騰を生み出し、学生・父母に重い教育費負担を強いるとともに、憲法で保障された教育の機会均等を根底から脅かしている。加えて、私立大学と国立大学では国から支出される補助金に大きな格差があり、例えば、学生総数に占める無利子奨学金受給者の割合は、私立大学の八・〇%に対して国立大学は一四・八%となっており、受給者の割合が国立大学に偏っている。また、各大学が実施する授業料減免事業に対して、私立大学には四〇億円、国立大学には一九六億円の予算(二〇一〇年度実績)が措置されているが、学生数で圧倒的な割合を占める私立大学において、授業料減免などの支援事業が十分に行えるよう、私立大学の補助金を大幅に拡充することが求められる。さきの東日本大震災によって甚大な被害がもたらされた被災地の復興に向けて、日本社会の総力を挙げた取組が求められており、将来の日本社会を担う若者を育てるための教育条件を整備することは、日本社会の未来を切り開く大きな力となる。被災した学生の修学及び就学機会を確保するために、各私立大学が実施する授業料減免措置等に対する大幅な緊急補助を行うなど、政府及び関係省庁が必要な対策を講ずることを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、私立高校生と同様に、私立大学生の学費負担を大幅に軽減する新たな助成制度を創設すること。
二、無利子奨学金を希望者全員が受給できるよう規模を拡大すること。また、給付制奨学金を創設すること。
三、経済的に苦しい学生に対する授業料減免や奨学金支給を全ての私立大学で実施できるよう補助を行うこと。
四、私立大学の経常費に対する補助を国会附帯決議どおり速やかに二分の一とするよう増額すること。

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