請願

 

第177回国会 請願の要旨

新件番号 1624 件名 日本軍慰安婦問題解決の立法を求めることに関する請願
要旨  日本によるアジア太平洋地域の戦争において、一定期間日本軍の慰安所等に集められ、将兵から性的被害を強いられた女性たちの人権回復がいまだなされず、被害者は、日本人だけではなく朝鮮人、台湾人、中国人、華僑(華人)、フィリピン人、インドネシア人、ベトナム人、マレー人、タイ人、ビルマ人、インド人、ユーラシアン(欧亜混血)、太平洋諸島の人々、オランダ人などである。日本軍が慰安所の管理・経営に積極的に関与したことは、日本政府が認めた歴史的事実である。一九九二年に軍の関与を立証する資料が発見され、政府は公文書を調査し被害者へのヒヤリングをし、調査結果を公表した。河野官房長官(当時)は「慰安所は、軍当局の要請により設営されたものであり、設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与」したと軍の関与を認め、「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいもの」であり、「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」であると「おわびと反省」を表明した。日本政府は、一九九五年に日本軍慰安婦問題を解決するために「女性のためのアジア平和国民基金」を設立したが、多くの慰安婦被害者から受け入れられず解決できなかった。慰安婦被害者は、日本政府に公式な謝罪と補償を求めているが、高齢であり、多くが既にこの世を去った。一刻も早い解決が求められている。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、日本軍「慰安婦」被害者の人権回復のための立法を行うこと。
二、立法に当たっては、その法律に下記の内容を含めること。
 1 日本軍が今次大戦及びそれに至る時期において、直接的あるいは間接的な関与の下に設置運営した「慰安所」等における女性に対する組織的かつ継続的な性的行為の強制が、当時の国際法・国内法に違反する重大な人権侵害であり、女性に対する名誉と尊厳を深く傷つけるものであったことを認め、日本国として被害者に対し謝罪すること。
 2 日本国として上記の責任を明らかにし、被害者の名誉と尊厳の回復のための措置として、金銭の補償を含む措置を採ること。
 3 事業実施に当たっては、内閣総理大臣及び関係閣僚を含む実施委員会を設置し、被害者及び被害者を代理する者の意見を聴取して行うこと。
 4 日本軍「慰安婦」問題のより徹底した全容解明のために、国会あるいは行政府内に調査機関を設けるなど適当な措置を採ること。
 5 教育、広報等を通じて、この問題の真相が社会に広く定着し、更に広く広がるように配慮すること。

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