請願

 

第176回国会 請願の要旨

新件番号 328 件名 国・自治体の責任ですべての子供により良い保育の保障と子育て支援を求めることに関する請願
要旨  子供たちは、どんな地域、どんな家庭に生まれても、健やかに育つ権利が等しく保障されなければならない。現行保育制度は憲法第二五条(健康で文化的な最低限度の生活保障)、児童福祉法第二条(国と自治体の児童育成の責任)、児童福祉法第二四条(市町村の保育実施責任)に基づいて、国と自治体の公的責任、最低基準の遵守、公費による財源保障と応能負担を制度の柱にしている。これは子供にかかわるすべての制度の基本であり、子供の権利保障、発達保障のためには、これらの堅持・拡充が不可欠であるが、現在、政府において検討されている「子ども・子育て新システム」は、すべての子供に切れ目のないサービス保障をするとしながら、保育の産業化を志向し、公的責任の縮小、最低基準の廃止・地方条例化、応益原則の導入による保護者負担増など、国民の願いとは逆行する方向を打ち出している。今、世界では子供の権利保障や保育の無償化が進められており、日本の現状に対して保育所・幼稚園・子育て支援予算の大幅増額などの改善課題も示されている。子供の貧困、子育て困難が広がっているときだからこそ、国や自治体の責任で保育・子育て支援を拡充し、十分な財源を確保することが必要になっている。すべての子供に質の高い保育を受ける権利を保障する保育制度、子育て支援施策の実現を求める。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、すべての子供の豊かな成長・発達のために、憲法第二五条、児童福祉法第二条の理念に基づき、保育・子育て支援、並びに子供のための施策を拡充すること。
二、国際的にも低水準の保育所・幼稚園・子育て支援関連予算を大幅に増やすこと。保育の無償化など、子育てにかかわる経済的負担の軽減を図ること。
三、保育における国と自治体の公的責任、最低基準、財源保障は、すべての子供の成長・発達を保障する制度の基本である。これらの堅持・拡充を図ること。
 1 国の責任で待機児童解消のための保育所整備計画を立て、必要な予算措置をすること。
 2 児童福祉施設最低基準を引き上げ、保育条件を改善すること。
 3 保育所、幼稚園、学童保育などの職員の処遇を、専門職にふさわしく改善すること。
四、自ら声を上げられない幼い子供にかかわる制度について、拙速に結論を出すのはやめること。
 1 国と自治体の責任を縮小・後退させる保育所への直接契約・直接補助方式の導入はやめること。
 2 応益負担の導入はやめること。
 3 成り立ちや機能、子供の年齢構成など多くが異なる幼稚園・保育所の一体化の検討は慎重に行うこと。

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