請願

 

第176回国会 請願の要旨

新件番号 272 件名 地域建設業の発展のために、防災・生活関連・維持補修型公共工事への転換を求めることに関する請願
要旨  公共投資・民間建設投資の減少、設計労務単価一三年連続マイナスなど、建設労働者を取り巻く情勢は極めて厳しく、国土交通省は、二〇一〇年度政府建設投資は前年度比一八・六%減の一三兆七、六〇〇億円との見通しを発表した。各種インフラ整備は立ち後れ、劣化や腐食による通行規制の橋梁(きょうりょう)が放置され、危険なダムや滑走路、港湾、耐震性に欠ける下水道が多数存在している。耐震化率も、住宅・建築物は七九%(二一年版防災白書)、水道二八%(二〇年厚労省調査)、下水道施設二五%(二〇年関東地方整備局調査)、病院五六%(厚労省)、公立小中学校六七%(二一年文科省調査)、防災拠点となる公共施設六六%(二〇年総務省調査)と耐震化は不十分である。社会資本施設の更新・維持・管理は待ったなしの課題であり、大型公共事業から防災・生活関連・維持補修型公共工事中心の建設政策への転換を求める。総務省が六月に発表した「労働力調査」(速報)によれば、五月の建設業の就業者数は四九二万人で、昨年同月比で一六万人減少しており、建設現場では賃金・単価の切下げが常態化し、暮らしが維持できない。地域建設業は、まちをつくり、守るために大きな役割を果たしており、「命を守る公共事業」「命を守る建設産業」であり、基幹産業の一つである。しかし、倒産・廃業が続き、新規就業者も減り、建設産業そのものの存在が危ぶまれ、このままでは、安心・安全なまちづくり、社会資本にとっての担い手がいなくなりかねない。公共工事設計労務単価の下落が、現場の賃金を引き下げ、更に設計労務単価の引下げという悪循環を生んでおり、これ以上の低賃金・低単価をなくすためには、公契約法の制定が必要である。
 ついては、地域建設業を健全に発展させ、建設技能労働者の生活を守り、工事における安全や品質の確保と、住民要求に沿った安心・安全なまちづくりのため、次の事項について実現を図られたい。

一、防災、公共住宅や下水道などの生活関連、環境保全等へ公共工事を転換すること。

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