請願

 

第176回国会 請願の要旨

新件番号 268 件名 現下の厳しい雇用・失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化に関する請願
要旨  労働力調査(総務省)によると、七月の完全失業率は五・二%、完全失業者数は三三一万人で、二〇〇八年秋から急速に悪化した雇用失業情勢は深刻な状況が続いている。全国の公共職業安定所には、多くの求職者・労働者・事業主が訪れ、労働基準監督署、雇用均等室でも解雇や賃金不払、職場での男女差別解消を求める申告者・相談者が急増している。労働者・国民の雇用不安の解消や、労働条件をめぐる諸問題の解決は喫緊の課題となっているが、四月には労働行政の職員が二二六名削減され、増加した来所者・相談者への対応や、累次の緊急雇用対策を執行するに見合った人員が十分に確保されたとは言えない。職員は労働者・国民の要望にこたえようと努力しているが、限界を超えつつある。現状の職場体制が放置されるならば、雇用の安定や労働条件の確保等に関する行政機能が十分に機能せず、労働者・国民の生活の安定や、公正・公平な行政の実現が阻害される事態にもつながりかねない。今必要なことは、労働者・国民、事業主の要望に迅速かつ適切に対応するために、ILO第八一号条約・第八八号条約や憲法第二七条・第二二条を遵守し、ナショナルミニマムを十全に保障する立場に立ち、国の責任で労働行政を行うべきことを明確にし、職員の増員等による労働行政体制の整備・強化を図ることである。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、深刻化する雇用失業情勢の下で、急増する労働行政に対する需要に適切に対応し、労働者・国民の雇用の確保・安定及び労働条件の適正な確保・向上を図るため、ILO条約や日本国憲法の趣旨にのっとり、労働者・国民のナショナルミニマムを十全に保障する労働行政に関する国の責任を明確にするとともに、以下の事項を中心に、職員の増員等によって労働行政体制を整備・強化すること。
 1 急速に悪化する雇用・失業情勢の中にあっても、すべての勤労国民が安心して働き、生活することができるよう、雇用保障の確立と職業能力開発の効果的な推進など、行き届いた行政サービス確保のため、公共職業安定所(ハローワーク)を中心として、必要な職業安定行政の体制整備を行うこと。
 2 過重労働対策等の労働時間管理の適正化、解雇・賃金未払事案への迅速な対応、最低賃金の履行確保を行う監督行政、高止まりする重大災害等の労働災害防止、石綿障害や過労死などに代表される職業性疾病への的確な対策を行う安全衛生行政、労働災害に被災した労働者等の早期救済を図る労災補償行政等から成る労働基準行政の体制整備を行うこと。
 3 雇用・就業における男女平等の実現、政府が重点施策と位置付けるワーク・ライフ・バランス対策、両立支援対策、少子化対策、短時間労働者の雇用及び労働条件の確保など、必要な施策の効果的な実施のため、雇用均等行政の体制整備を行うこと。
 4 これらの業務を、労働行政の各分野が連携して効率的・効果的に行うための指導・監督業務を担うとともに、労働保険の適用・徴収業務、労働者派遣事業等に関する労働力需給調整事業関係業務、個別労働紛争解決制度の運用等に関する第一線業務を担う都道府県労働局の体制・機能を拡充し、労働行政利用者の利便性向上を図ること。あわせて、厚生労働省内部部局の体制を拡充・強化すること。

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