請願

 

第176回国会 請願の内閣処理経過

件名 HTLV―1総合対策に関する請願
新件番号 560 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H23.6.13
処理要領 一 HTLV―1の母子感染予防対策の強化を図るため、平成二十二年十月に、「妊婦健康診査の実施について」(平成二十一年二月二十七日付け雇児母発第〇二二七〇〇一号厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長通知)を改正し、HTLV―1抗体検査について、新たに妊婦健康診査の標準的な検査項目に追加するとともに、「平成二十年度妊婦健康診査臨時特例交付金の運営について」(平成二十一年二月二十六日付け雇児発第〇二二六〇〇三号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)を改正し、妊婦健康診査臨時特例交付金による妊婦健康診査事業における妊婦一人当たりの補助単価の上限額を引き上げたところである。
 また、平成二十三年度から、保健所で実施している特定感染症検査事業において、妊婦以外の者についてもHTLV―1抗体検査を実施できることとするなど、検査、相談機会の拡大を図り、併せて周知に努めているところである。
 さらに、平成二十三年一月に、HTLV―1に関する情報へのアクセスがしやすいよう厚生労働省のホームページにポータルサイトを作成するとともに、同年三月には、HTLV―1の母子感染の予防の徹底を図るため、医師や保健師等向けの保健指導に関するマニュアル等を地方自治体等へ配布したほか、都道府県の職員等を対象とした研修会を開催したところである。平成二十三年度においては、都道府県を実施主体とするHTLV―1母子感染対策事業において、妊婦等への普及啓発のほか、保健指導体制等について連絡・調整を行う「HTLV―1母子感染対策協議会」を設置するとともに、市町村の職員等を対象とした研修等を行うこととしている。

二 キャリアのための診療体制の整備を図るため、厚生労働科学研究において、より精度の高い検査方法の開発を進めている。また、相談体制の充実を図るため、医療従事者及び相談従事者向けのキャリア指導の手引を作成し、地方自治体等へ配布したほか、平成二十三年度から、都道府県ごとの相談窓口を取りまとめて公表し、随時更新することとしている。

三 HTLVー1に関連する疾患であるATL(成人T細胞性白血病)及びHAM(HTLVー1関連脊髄症)の患者に対する診療体制の整備を図るため、治療に係る医療連携体制の整備や診療体制に関する情報の発信等の取組を推進していくこととしている。
 ATL及びHAMの患者の医療費軽減については、公的医療保険の対象となる治療について、高額療養費制度により自己負担の軽減が図られているところである。
 また、HAMを含め、難治性疾患の患者に対する医療費助成の在り方については、現在、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会及び厚生労働省に設置された「新たな難治性疾患対策の在り方検討チーム」において議論しているところであり、その結果を踏まえ、検討してまいりたい。
 ATL及びHAMの患者に対する有効で安全な新薬を我が国の医療現場で使用できるようにすることは重要であると考えている。ATLに対する治療薬として開発中の二品目については、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)の希少疾病用医薬品として指定しており、有効性及び安全性について必要なデータが整い、同法に基づき行われた製造販売の承認申請に対しては、優先的にその承認審査を進めてまいりたい。さらに、薬事承認を行った場合には、速やかに薬価収載の手続を行うこととしている。

四 HTLVー1並びにこれに起因するATL及びHAMについて、厚生労働科学研究において、HTLVー1関連疾患研究領域を設け、当該研究に係る研究費を大幅に拡充したところである。

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