請願

 

第176回国会 請願の内閣処理経過

件名 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願
新件番号 44 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H23.6.13
処理要領 一 腎疾患に関する研究については、厚生労働科学研究費補助金による腎疾患対策研究事業において「CKDの早期発見、予防、治療標準化、進展阻止に関する調査研究」を、また、同補 助金による循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業において「糖尿病における失明、歯周病、腎症、大血管合併症などの実態把握とその治療に関するデータベース構築による大規模前向き研究」等を実施してきたところであり、今後とも、その推進に努めてまいりたい。

二 慢性腎臓病の啓発活動については、厚生労働省において慢性腎臓病シンポジウムを開催するとともに、各都道府県において講演会や研修等を行うことにより、その正しい知識の普及に努めているほか、糖尿病性腎症等の生活習慣に起因する腎臓病については、健康づくりの国民運動を、民間企業等と連携し、職域における取組や企業の経済活動等を通じて推進しているところである。なお、地方自治体においては、飲食店における栄養成分表示の促進やヘルシーメニューの提供等、糖尿病予防対策を支援する環境整備を行うなど、生活習慣病に起因する腎臓病を予防するための取組を進めているところである。

三 政府においては、これまでも、支援が必要と認められた透析患者について、居宅から医療機関に通院する際の介助を、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の居宅サービス又は障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)の障害福祉サービスの対象とするなど、医療と福祉の連携を図ってきているところであり、今後とも、その推進に努めてまいりたい。

四 医療現場における医療の安全確保については、平成十八年の良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十四号)により新たに設けられた医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六条の十において、病院、診療所又は助産所(以下「病院等」という。)の管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、医療の安全を確保するための措置を講じなければならないとされており、具体的には、医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号)第一条の十一において、病院等の管理者は、院内感染対策のための指針の策定、及び医薬品又は医療機器の安全管理又は安全使用のための責任者の配置等の措置を講じなければならないとされているところであり、今後とも、病院等における医療の安全を確保するための体制の充実・強化を図ってまいりたい。なお、透析医療における院内感染については、厚生労働省において、「透析医療における標準的な透析操作と院内感染予防に関するマニュアル」を作成し、その予防対策を行っているところである。

五 医師の確保については、平成二十年度以降、医師養成数を増員してきており、平成二十二年度医師養成数を過去最大の八千八百四十六名に増員するとともに、平成二十三年度は更に七十七名増員することとしている。
また、平成二十二年度診療報酬改定において、診療報酬本体を一・五五パーセント引き上げ、救急、産科、小児科、外科等の医療の再建や病院勤務医の負担軽減を図るとともに、平成二十二年度予算において、実効性のある各般の対策を盛り込み、分娩、新生児医療又は休日夜間における救急医療を担う勤務医への手当に対する支援、女性医師の離職防止や復職支援の充実等に取り組んでいるところである。さらに、平成二十三年度予算には、医師不足病院の医師確保の支援等を行う「地域医療支援センター」への財政支援等を盛り込んでおり、今後とも、必要な対策を講じてまいりたい。
 看護師等の確保については、これまでも、看護師等の人材確保の促進に関する法律(平成四年法律第八十六号)に基づき、資質の向上、養成の促進、定着の促進、再就業の支援等総合的な対策を推進してきており、就業者数は毎年着実に増加しているところである。平成二十二年度においても、看護師等養成所の運営費補助、病院内保育所及び新人看護職員研修の支援、ナースセンターにおける求人求職情報の提供や就職あっせん等の人材確保に向けた総合的な支援事業等に対する国庫補助を行っているところである。
 また、「第七次看護職員需給見通しに関する検討会」において、平成二十二年十二月に、平成二十三年から平成二十七年までの新たな看護職員需給見通しを取りまとめたところであり、この需給見通しに沿って引き続き看護師等の確保に努めてまいりたい。
 福祉・介護サービス分野においては人材確保が困難である現状を踏まえ、平成二十一年四月の介護報酬のプラス三・〇パーセント改定、平成二十一年度第一次補正予算における介護職員(常勤換算)一人当たり平均月額一.五万円の賃金引上げに相当する介護職員処遇改善交付金の創設や雇用管理改善に取り組む事業主への支援等を行っている ところ。これらを通じ、福祉・介護分野で働く職員の処遇を改善し、働きがいのある職場づくりに取り組むとともに、養成校の学生に対する修学資金貸付の拡充を通じ、新たな人材の福祉・介護分野への参入促進等に取り組んでいくこととしており、これらを総合的に進めていくことにより、福祉・介護サービスの担い手の確保に努めてまいりたい。

六 臓器移植の普及及び啓発については、地方公共団体や社団法人日本臓器移植ネットワークを始めとする関係機関等との連携の下、臓器移植に関する知識の普及や臓器提供意思表示カードの配布等に取り組むとともに、臓器の移植に関する法律(平成九年法律第百四号。以下「臓器移植法」という。)第十七条の二の規定に基づき、運転免許証や医療保険の被保険者証に、順次、臓器提供意思表示欄を設けているところである。
 また、臓器移植法の円滑な施行のためには、臓器移植が適正に実施されるための体制整備に取り組むことが重要であると認識しており、都道府県所属のコーディネーターの設置について、所要の地方交付税措 置を講ずる等の支援を行っているところである。
 院内コーディネーターの増員等については、臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律(平成二十一年法律第八十三号)の施行状況を踏まえ、その支援の方策について検討してまいりたい。   

七 政府においては、災害時における人工透析の提供体制や複数の搬送手段の確保等について、「厚生労働省防災業務計画」(平成十三年二月十四日厚生労働省発総第十一号)に定めるとともに、都道府県及び社団法人日本透析医会(以下「都道府県等」という。)に対し、人工透析の提供体制の確保を図るよう要請してきており、今回の東日本大震災においても同様の要請を行ったところである。今後とも、都道府県等と連携し、大規模な災害時にも対処可能な人工透析の提供体制の確立に向けて取り組んでまいりたい。

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