請願

 

第174回国会 請願の要旨

新件番号 790 件名 最低賃金千円の実現に関する請願
要旨  働いても貧困から抜け出せない「ワーキング・プア」の増加が社会問題となっている。一年を通じて就労しても年収二〇〇万円以下の低賃金労働者は一、〇六八万人(二〇〇八年)と、一〇年で三五%も増え、特に女性や青年は二人のうち一人が低賃金・不安定雇用で働いている。貧困労働の広がりは、内需を冷え込ませて不況を長引かせるばかりか、青年の自立を困難にし、少子化を進め、社会保障の揺らぎ、地域社会の衰退、社会不安を引き起こし、社会の土台と未来を危うくしている。二〇〇七年末には「最低賃金法の一部を改正する法律」が制定され、「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮」(第九条第三項)することになったが、改正法の下で審議・改定された最低賃金は、最も高い東京で七九一円、佐賀、長崎、宮崎、沖縄では六二九円であり、一、八〇〇時間働いたとしても税込み一一三~一四二万円で、生活保護基準を下回っている。しかも、地域格差是正の視点がないため、大都市圏と地方の最賃格差は年々広がり、地方からの労働者の流出を後押ししている。さきの総選挙では、与野党問わず多くの政党が、最低賃金の引上げや制度改革を公約に掲げ、「働く貧困は放置できない」との政治姿勢を明らかにした。最低賃金法抜本改正は、今や超党派の課題である。今国会で、最低賃金法の抜本改正を行い、賃金の底上げと全国最低賃金制度導入による地域格差の是正を進めていけば、地域からの消費の拡大、貧困労働の解消と均等待遇への接近、中小企業の単価引上げと適正利潤確保など、景気回復に向けた道筋が見えてくる。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。 

一、最低賃金法を抜本改正し、最低賃金額を少なくとも時間当たり一、〇〇〇円に引き上げること。
二、全国最低賃金制度を導入し、地域間の最低賃金格差を是正すること。
三、最低賃金の引上げに当たっては、中小零細業者の経営支援策と生活支援策を十分に講じること。
四、特定最低賃金(産別最賃)を普及させるため、必要性審議の在り方や決定方式を見直すこと。

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