請願

 

第174回国会 請願の要旨

新件番号 288 件名 身近な地域で出産できる助産システムの実現と妊婦健診、出産費用の公費負担による無料化に関する請願
要旨  救急搬送された妊婦が病院で受入れを断られた後に死亡する事故が相次いでいる。全国で産科と小児科の医師、分娩(ぶんべん)を扱う病院・診療所が減り、拠点病院への産科の集約化が進められたが、地域によって産科の空白地域が広がり、妊婦が出産する病院を探すことさえ難しくなっている。また、集約化された拠点病院では、ハイリスク出産や治療に加えて正常出産までが集中し、NICU(新生児集中管理治療室)、MFICU(母体・胎児集中治療管理室)の不足、それを扱う医師やスタッフの不足が深刻化している。厚生労働省が全国の総合周産期母子医療センターで行った調査では、二〇〇七年度に妊婦の搬送を断ったことのある施設は七割以上、その九七%が理由をNICUの不足とし、同省研究班はNICUが全国で一千床足りないと報告している。緊急搬送される妊婦には妊婦健診を受けていない「飛び込み出産」も多く、その原因の多くが経済的理由であるとされている。妊婦健診は出産までに一四回受けることが望ましいとされ、五回分は国の財政措置が地方交付税で行われ、残り九回分を国庫補助と地方財政措置で行われているが、都道府県による基金の創設など仕組みが複雑になり、二年間の期限付きであることも大きな問題である。社会保障の最低基準を定めたILO第一〇二号条約では妊娠・分娩は母性医療給付の対象とされ、国際社会では女性の生涯にわたる健康支援は人権として認められ妊娠・出産は公費負担とされている。出産は母体と胎児の命にかかわる問題であり、安心して出産できる助産システムをつくり、妊娠・出産の費用は国の負担か公的保障を行うべきである。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、だれでもどこでも最低一四回の妊婦健診が受けられるよう、健康保険の適用など公的保障を実現すること。
二、母体と胎児の命にかかわる妊娠・出産の費用は、公費負担の制度を確立し無料化を実現すること。
三、身近な地域で出産のできる安心・安全の助産システムをつくること。そのために、医師を確保し、正常な妊娠出産・産後と育児のケアを担える助産師の専門性をいかし活用を図ること。

一覧に戻る