請願

 

第173回国会 請願の要旨

新件番号 621 件名 国民の安全・安心の願いにこたえる公共事業の推進に関する請願
要旨  相次ぐ地震のたびに国民の命と財産が奪われ、道路などライフラインも被害を受けて、震災後の復興に支障を与えている。また、温暖化による異常気象が原因と考えられる高潮や洪水による被害も頻発し、国民の安心と安全にとっても脅威になっている。日本は活発な火山帯に位置し、台風の常襲地帯でもあり、様々な被害を受けやすい上、最近では大規模地震の切迫性の高まりや、ゲリラ豪雨等によって防災機能の充実は急務となっており、公共事業の在り方を防災・生活重視型に転換することが求められている。また、高度成長期に造られた多数の構造物がこれから更新期を迎え、更新や補修などの維持管理が重要な社会問題となっている。さらにアスベスト・粉塵(ふんじん)問題では飛散防止対策や解体・改修現場での早急な施策が求められている。建設業は、産業自体が消滅しかねない重大な危機に陥っており、長引く不況や公共事業抑制による市場の縮小と脱談合を名目とした競争の激化によって、ダンピング受注や下請代金・賃金の切下げ・遅延・不払などが横行し、経営破綻(はたん)や建設労働者にそのしわ寄せが強いられており、早急な経済支援対策を実施する必要がある。
 ついては、国民の安全・安心の願いにこたえる公共事業を実現するため、次の事項について実現を図られたい。

一、公共事業を防災・生活・環境保全優先に転換すること。
 1 防災、公共住宅や下水道などの生活関連、環境保全等へ公共事業を転換するとともに、公共施設の維持修繕予算を大幅に増額すること。
 2 環境破壊を防止するため乱開発を規制する法体系を整備すること。
 3 公共事業長期計画を国会承認事項とし、情報公開及び住民参加による事業決定のシステムを確立すること。
 4 公共工事の監督・検査及び公共施設の維持・管理は国と自治体が責任を持って行うこと。公共施設の維持管理は指定管理者制度を活用しないこと。工事の監督・検査を市場化テストの対象としないこと。
 5 公共事業発注官公庁及び独立行政法人等の体制としては、最先端の現場を担う事務所・出張所などの出先機関に優先して必要な職員を確保すること。
二、公正な賃金・労働条件と業者の適正な収入・仕事を確保すること。
 1 最低制限価格を設定するなど公共工事・業務委託でダンピング受注を防止する有効な仕組みをつくること。
 2 官公需法(官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律)を厳守し、中小建設関連業者の受注機会を確保すること。
 3 品確法(公共工事の品質確保の促進に関する法律)の運用によって中小企業を排除しないこと。

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