請願

 

第173回国会 請願の要旨

新件番号 604 件名 人権擁護法の成立に反対することに関する請願
要旨  包括的な人権擁護を目的としたいわゆる人権擁護法が成立すると、正当な言動まで差別的言動として規制され、憲法第二一条で保障された表現の自由が侵されるおそれがある。また、特別救済措置の下に申告だけで令状なしに捜査が行われるという人権侵害が起こる危険性がある。
 ついては、日本国憲法に違反するものとして、人権擁護法案の成立に反対されたい。

   理由
 (一)人権擁護法で人権委員会が設置されることになるが、差別や人権侵害があった、あるいはそのおそれがあるという認識に基づいて、令状なしで居宅への立入調査、動産等の押収、留め置きができるものである。差別、人権侵害の定義があいまいで、恣意(しい)的な運用をされる危険性がある。人権委員会が差別、人権侵害と断定すれば罰則を科すことができ、差別をしたとされる人の保護規定がないと、逆に重大な人権侵害が起こる。人権委員会を抑制する機関がないことも問題である。また、何か表現する際に、法に抵触するか考えるような委縮した社会は、自由闊達(かったつ)な言論、表現を基盤とした近代国家の在り方に逆行し、表現の自由を保障した憲法第二一条に抵触し違反する。(二)人権委員会に差別、人権侵害の申出があり、その申出に当たるとみなされると、人権委員会の強権が発動される。被害者とされる人からの申告だけで、令状なしで捜索し拘束する権限があるというもので、人権侵害を起こす危険性がある。(三)そもそも、差別や人権侵害などは、法律判断になじまない。不当な差別や人権侵害などは、健全な社会、人間関係の下においては存在しないもので、それを築くよう努力すべきである。どちらかと言えば、教育政策に求めるべきであり、そのようなものに罰則を科すことは、社会にゆがみを生じさせる。

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