請願

 

第171回国会 請願の要旨

新件番号 3212 件名 化学物質政策基本法(仮称)の制定に関する請願
要旨  医薬品・農薬から、合成洗剤、プラスチック、食品添加物まで、身の回りには化学物質があふれており、健康や生態系を害するものも少なくない。過去、数々の公害・薬害事件が発生し、化学物質審査規制法、化学物質管理促進法など化学物質管理のための法律が制定されたが、領域・用途別の省庁縦割りとなっており、一元的に管理する仕組みは整備されていない。このため、化学物質対策は、各省庁によりまちまちで、規制にすき間が生じることもあり、例えば、農薬取締法(農水省)は農作物の防除にしか適用がないため、家庭用殺虫剤などは対象外となっている。家庭用殺虫剤のうち、衛生害虫用は薬事法(厚労省)の規制対象であるが、不快害虫用やシロアリ駆除剤などには規制がなく、シロアリ駆除剤による健康被害は後を絶たない。近年、シックハウス症候群・化学物質過敏症など化学物質による新たな健康被害が増加し、各種がん疾患も増加傾向にある。喘息(ぜんそく)・アトピー・花粉症などアレルギー性疾患も増えており、国民の三分の一が症状を訴えている。さらに、自閉症などの発達障害も急増しており、これらの発症に、化学物質の関与が強く疑われている。対策を講じないと被害は増大し、取り返しのつかない状態となりかねず、対策の先送りは許されない。多種多様な化学物質を使いこなすには、共通の理念・戦略の下に、関係省庁が連携し総合的に対策を進めることが不可欠であり、EUでは従来の制度を抜本的に見直し、製造・輸入量一トン以上の化学物質の登録を義務付けるとともに、発がん性物質など特に懸念される化学物質について許可制を導入する「化学物質の登録・審査・認可に関する法律」を制定している。我が国でも、早急に同様の取組を開始する必要があり、消費者・生活者の製品安全や食品安全を確保するためにも、化学物質管理制度の一元化が急務である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、以下の基本理念を明記した「化学物質政策基本法」(仮称)を制定すること。
 1 持続可能な化学物質の製造使用(化学物質の総量削減)
 2 ノーデータ・ノーマーケットの原則
 3 影響を受けやすい人々(胎児・子供など)や生態系への配慮
 4 ライフサイクル管理(研究開発から、製造、使用、リサイクル、処分に至るまで)
 5 予防原則
 6 代替原則
 7 すべての関係者の参加
 8 国際的協調

一覧に戻る