請願

 

第171回国会 請願の要旨

新件番号 2937 件名 裁判員・刑事司法制度の緊急改善に関する請願
要旨  刑事司法改革と一体となって運用される裁判員裁判に国民の関心も高まりを見せているが、裁判員に就任することへの不安や困惑等が圧倒的多数を占めていることは、各種の調査で明らかである。それは、制度導入に際して国民的な議論が尽くされていないことと併せて、冤罪(えんざい)・誤判に加担させられるのではないかという危惧(きぐ)から生じている。裁判員制度の導入に際しては、冤罪・誤判に対する反省や、刑事司法の基底的立脚点である無辜(むこ)の不処罰に配慮のないまま、国民に裁判員への就任を強制し、裁判員への負担軽減を旗印とした迅速裁判を第一義として、無罪の推定を受けるべき被告人の人権保障・弁護権を著しく軽視するものにした経過がある。このような歪(ゆが)んだ観点で立法化されたために、裁判員制度には、冤罪・誤判の増発が危惧されるシステムが数多く、裁判公開の原則から導かれる国民による裁判の監視・批判を抑圧する規定まで用意され、また裁判員への多大・困難な義務を課した。
 ついては、冤罪を防止し、被告人・弁護人の防御権・弁護権、憲法が保障する裁判公開の原則を保障するため、次の事項について実現を図られたい。

一、捜査全過程を可視化(録音・録画)すること。
   一部可視化は、警察・検察に都合の良い「いいとこ撮り」であり、一層冤罪・誤判増大の危惧を強めるものである。
二、検察手持ち証拠の事前全面開示を実現すること。
三、被告人の防御権、弁護人の弁護権を侵害する公判前整理手続終了後の弁護人の立証制限規定(刑訴法第三一六条の三二)を廃止すること。
四、裁判員への罰則による守秘義務規定(裁判員法第七〇条、第一〇八条)を廃止すること。
五、国民の裁判批判を封じる検察開示証拠の目的外使用禁止の規定(刑訴法第二八一条の四、五)を廃止すること。

一覧に戻る