請願

 

第171回国会 請願の要旨

新件番号 2594 件名 農地法改正案の撤回・廃案に関する請願
要旨  衆議院で与党と民主党の協議によって農地法改正案が修正議決され、第一条(目的)にあった「農地を効率的に利用する者による農地についての権利の取得を促進し」などを書き換え、「耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ」「農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮」「耕作者の地位の安定」などを挿入した。しかし、耕作者主義の核心である「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当である」という条文は削除されたままで、修正案にある「耕作者」とは大企業や多国籍企業も含む懸念が残る。また、大企業などへの農地貸出しの自由化に当たって、法人・企業の業務執行役員の一人以上が農業に常時従事すること、貸出しの許可に当たって農業委員会が市町村長に通知することが義務付けられ、市町村長が意見を述べることができることが付け加えられた。これらは、企業参入の弊害を解消するものにはなり得ない。賃貸借期間を五〇年にすることや、標準小作料制度の廃止に修正は及んでいない。国民の食糧を確保するために政府は、戦後の農地解放によって確立された「耕作者主義」に基づいて、家族経営を支援するというのが戦後農政の枠組みで、耕作放棄地の広がりが社会問題になっている原因は、現在の農地法や農民の努力の欠如ではなく、農産物の輸入自由化や市場原理等によって営農の継続が困難にされたためであり、農政の結果である。家族経営を否定し、国民の食糧生産と農業の担い手を利潤第一の企業に肩代わりさせることは、農家の経営と集落の共同の基盤を破壊し、農業の持続性を危うくする。今、必要なのは国際的な食糧需給のひっ迫に対応した食料自給率を向上させる農政であり、農家が営農を継続し、生活できる展望をもたらす施策で、地域を挙げて耕作放棄地を解消する努力に対する支援を抜本的に強化することにある。耕作者主義を削除して大企業の農地支配を許すことは、農業はもとより日本の将来に重大な禍根を残すものである。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、「農地法改正案」を撤回・廃案にすること。

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