請願

 

第171回国会 請願の要旨

新件番号 967 件名 新たなタクシー制度の確立に関する請願
要旨  国土交通省の交通政策審議会は、タクシー事業の問題解決に向けて、増車と新規参入を極力抑制し、事業者の自主減車を促すことで供給過剰の是正と過度な運賃競争の解消を図ることなどを柱とする答申を昨年一二月に国土交通大臣に行い、国土交通省はこれまでのタクシー規制緩和政策を見直し、新たな立法化措置を含む制度づくりに着手している。答申は、問題点として、供給過剰、過度な運賃競争を取り上げ、歩合制主体の賃金制度などを構造的要因として指摘しているが、タクシー車両の現実的な減車スキームを示し得ず、同一地域・同一運賃の法制化にも踏み込めず、課題は先送りされている。
 ついては、タクシー輸送の安全確保、サービスの向上、タクシー労働者の生活維持と改善のため、次の措置を採られたい。

一、現在、タクシー産業は全国くまなく供給過剰状態にある。このため産業の現状をこれ以上悪化させないよう、需給バランスが回復するまで増車と新規参入を凍結させること。
二、行政の責任において、地域の実情を踏まえた適正車両台数を公示させるとともに、地域での合意を前提とした減車措置を可能とする制度確立を図ること。
三、運賃決定に当たっては、道路運送法上で「運転者の適正な賃金・労働条件確保」という立法趣旨を明確にし、具体的な運賃査定においては、タクシー運転者の社会的賃金格差が是正できる「適正人件費」を算定基礎とする制度を確立すること。
四、今日、複数運賃下で蔓延(まんえん)している相対運賃による運賃メーター制の崩壊を止め、利用者が安心して利用できる「同一地域・同一運賃」を法制化すること。
五、道路運送法や労働関係法規を守らない悪質事業者に対して監査を一層厳格化し、法律に抵触するワンコインなどの事業者を退出させる制度を構築すること。
六、タクシーの賃金制度を見直し、固定給の確保及び累進歩合の禁止等の是正命令が確実に実行できるよう、タクシーにかかわる「改善基準」の法制化を行うこと。
七、運転者登録制度を、制度設置の趣旨に従い早急に全国に拡大するとともに、制度を充実させ、運転者の社会的地位の向上を目指す「運転者資格制度」に発展させること。

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