請願

 

第170回国会 請願の要旨

新件番号 998 件名 すべての子供たちに行き届いた教育を進めることに関する請願
要旨  近年、学力の低下、不登校・登校拒否や暴力事件の増大、学級崩壊、いじめ問題など、子供と教育をめぐる深刻な事態が進行し、多くの国民が心を痛めている。そして、どの子にも行き届いた教育を進めるためには「もっとクラスの人数を減らしてほしい」という声が広がり、現在四六県で一クラス三〇人や三五人などの少人数学級が実施されている。経済格差が広がる中で学費など教育に掛かる費用は家計を圧迫し、給食費や学費の滞納が増えている。小中学生に学用品費などが支給される就学援助制度の利用者は年々増え続けている。私立高校では三か月以上学費を滞納している家庭が一校平均で約一三名もいる(二〇〇七年一一月全国私立学校教職員組合連合調査)。倒産・リストラ・減給など家庭環境の変化によって学校を途中で退学せざるを得ない子供たちが続出し、子供たちの学習する権利が奪われている。また私学の教育条件改善と学費など父母負担の公私格差是正は、希望するすべての子供たちに高校教育を保障していくために必要である。障害児教育においては、在籍児童・生徒の急増と障害の重度重複化に伴う教室不足・教職員不足が深刻である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、経済的な格差によって子供たちの進路選択が狭められることのないように、学費負担軽減のために次のことを行うこと。
 1 私学助成の国庫補助制度を守り、私学助成を大幅に増額すること。特に、経常費二分の一助成を実現すること。また、授業料直接助成、施設助成を実施・拡充すること。
 2 教育費の無償化を目指し、就学援助・授業料減免制度、奨学金制度などを後退させず、充実すること。
 3 教育費減税を行うなど、教育費の父母負担を軽減すること。
 4 当面、年収五〇〇万円以下の家庭の高校・大学の授業料を無償とする制度を実現すること。
二、どの子にも行き届いた教育が保障され、基礎的な学力が付くように次のことを行うこと。
 1 国の責任で公立小中高の三〇人以下学級を実現すること。また、子供たちと直接向き合う教職員を増員すること。
 2 私学で三〇人学級を行うための特別助成を実施すること。
 3 教育予算を増額すること。
 4 どの地域の子供たちにもひとしく教育を保障するために、公立学校に対して国が負担している制度(義務教育費国庫負担制度)を維持・拡充し、負担率を二分の一に復活すること。また、地方の教育費を増やすために地方交付税を増額すること。
三、障害のあるすべての子供たちの教育の充実に向けて、次のことを行うこと。
 1 障害児学校・学級の教職員を増やすこと。
 2 障害児学校・学級に教育条件を整備すること。

一覧に戻る