請願

 

第169回国会 請願の要旨

新件番号 3798 件名 最賃千円以上の実現と全国一律最賃制の確立に関する請願
要旨  ワーキング・プア問題の放置は、消費低迷や少子化の進行、地域経済の低迷、企業における技術力の喪失、家庭崩壊、社会保障の崩壊、社会不安の醸成等を連鎖的に引き起こし、国の未来を危うくする。改正最低賃金法が成立し、最低賃金は労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮して決定することになったが、今の最低賃金では、年二、○○○時間働いても、税込み年収一二○~一四○万円にしかならず、生活保護基準を下回る。改正法の趣旨に従えば、最低でも年収二〇〇万円に当たる時給一、〇〇〇円は必要である。最低賃金の引上げは、均等待遇実現に当たっての賃金水準の底支えや、中小企業の下請単価の底支えと適正利潤確保、地域の格差是正と景気回復を図るために必要不可欠である。
 ついては、速やかに次の措置を採られたい。

一、来年度の最低賃金については、以下のように改善すること。
 1 改正法に基づき、地域別最低賃金は、健康で文化的な最低限の生活を営むために必要な生計費を基本に、勤労に伴う経費と税・社会保険料負担分を加えた金額に改定すること。当面の目標として、時間額一、○○○円を実現すること。単年度での達成が困難な地方には、到達計画をつくらせること。
 2 地域別最低賃金のDランクをなくすなど、地域間格差を縮小させるための施策を進めること。
 3 審議会や専門部会を公開すること。非正規労働者が意見陳述する機会を必ず設けること。
 4 労働局長は、労使の調査審議の結果を踏まえつつ、最低生計費を満たす金額を決定すること。労働局長の決定が最低生計費を満たさない場合、厚生労働大臣は職権をもって生計費保障となる適正な最低賃金額を決定させること。
 5 特定最低賃金(産別最賃)の金額を引き上げること。申出要件を緩和し、新設を容易にすること。
二、最低賃金審議会の委員の選任は、労働団体の系統の違いに配慮しバランス良く選出すること。地方最低賃金審議会の専門部会委員の選出についても、公募に基づく公正任命を行うこと。
三、以下の制度改正を検討し、実施すること。
 1 日額、月額設定を復活させ、全国一律最低賃金制度を確立するため、制度改正の準備を行うこと。
 2 最低賃金を年金支給額、下請単価、業者や農民の自家労賃などに連動させ、ナショナル・ミニマム(国民生活の最低保障)の基軸とすること。
四、最低賃金違反を根絶するため、労働基準監督官を増員し、監督行政の強化を図ること。

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