請願

 

第169回国会 請願の要旨

新件番号 3033 件名 国民主権を実あるものにするための立法府の制度・組織の改革等に関する請願
要旨  国会議員が立法、行政の双方において所期の責任を果たし、国民主権の政治を名実共に実現するべく、国の統治機構の制度と組織についてその中枢(ちゅうすう)部分を改革するよう求める。国家において国民主権が機能している状態とは、国民によって選出・構成された国会が立法府として機能し、立法を受けた行政が、首相と内閣の指揮・指導の下で執行されていることである。しかし日本の立法は事実上官僚層によって行われ、行政も、官僚機構の中で用意された方針を承認・決定するのが実情であり、また司法もそれに追随し、正に我が国は官僚主権国家というほかない。政治の在り方による弊害は、深刻さを増し、このため国民には、官僚支配を解体し、政治のリーダーシップが機能する体制にしなければならないことが、また、官僚支配体制の基本原因について、組織的な仕組みに問題がある、という認識が広まっている。官僚支配体制の解体策と新たな体制を提示し、確固たる意思を持って臨めば、改革を遂行できる。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国会を真に立法府として確立することが最重要・最優先であり、そのために内閣の法案提出制の廃止と法制局の国会一本化を軸とした一連の改革を次のように行うこと。
 1 三つの法制局を衆参両院の共同管理下に一本化
    衆参両院の共同管理下に単一の国会法制局を設置し、これまでの三つの法制局の機能をここに一本化すること。
 2 立法過程の新たな姿
  (一)立法要請 国会への立法案件の持込みは、議員・政党自体のほか、様々な領域から持ち込まれる。すべての立法要請において、条文化した法案を持ち込むのではなく、立法動機の表明など基礎段階からの資料を添えて立法要請するものとすること。条文化したものの受取を拒否する必要はないが、条文化し成案にするのは審議が煮詰まって最終的な段階の作業であり、実際にそれに当たるのは当該委員会の国会議員と、それを補佐する法制局スタッフとすること。
  (二)審議 こうして国会の立法論議は、基礎的な次元の論議から始まること。担当委員会は、状況認識のすり合わせ、基本的な方向性の決定、主要骨格の決定、細部の決定と進みながら、最終的な条文化へと進めることとすること。これらの進行と併行して、法制局の審査部署では他の法律との関係について審査し、また裁判所の関係判例などを調査し、委員会に報告すること。
  (三)歩み寄りと分裂 委員会では大なり小なり意見が分かれる。一つの成案に向かって歩み寄ることのできないケースでは、成案づくりが複数のグループに分かれることになる。そういう場合に法制局スタッフのかかわり方をどうするか、ルールを設けること。
  (四)中間報告と最終決着 委員会は本会議に対して審議経過の中間報告をできるだけ密に行い、積極的に委員会外の議員から幅広く質疑・意見を受けることとすること。委員会の活動の結果として、一本化された法案、又は複数に割れた法案が本会議に掛けられ最終決着するようにすること。
 3 行政府との関係
  (一)行政府の立法要請とそのルート 行政府の立法要請も、従来のような条文化され完成した法律案を提出するのではなく、立法に資する資料を提出し、後は国会にゆだねることとすること。すなわち行政府はあくまでも国会に立法を要請するという立場であり、法案の提案主体ではなくなる。行政府要請の立法案件の提案者は、行政府でも与党でもなく、担当委員会の委員長とすること。
  (二)行政から立法へのフィードバック 行政府は国会の審議に出席して意見を述べたり追加資料を提出したりして立法化の推進に努めることができるようにすること。また、行政府外から要請の出た立法案件に対しても行政府は国会に出席して意見を述べることができるようにすること。行政府がその方針や経験に基づいて認識・意見を立法府にフィードバックすることは行政府の権利であり義務でもある。
  (三)立法府と行政府の連携 行政府の立法要請は当面する予算にかかわるものが少なからずある。したがってそれらの法案についてはスケジュール管理が極めて重要になる。国会と内閣の連携を工夫すること。
 4 新しい法制局の姿
  (一)開かれた法制局 一本化された法制局は国会議員と政党・会派に貢献するだけでなく、広く国民一般に開かれたものにすること。また外国人にも同様であること。法制局の持つ情報はインターネットを利用して広く提供できるようにすること。既存の情報はもちろん、進行中の案件に関することも、最初の立法要請の段階からリアルタイムでつぶさに分かるようにすること。かつエキスパートシステムなどによる高次利用の方法を備えることとし、特に地方自治体の利用に供すること。
  (二)人材の結 集 法制局の要員には国会職員のほか、行政府省庁、地方自治体、法曹界、学界、研究機関、社会運動体、産業界などに出向を要請し、幅広い分野の人材を充てること。そして法制局を政策シンクタンクの働きを持った補佐機関とすること。このような人材の結集を円滑にするために、国会職員外の要員が所定の任期を終えた後、元の職場に復帰できるよう法的保証を設けること。

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