請願

 

第169回国会 請願の要旨

新件番号 3020 件名 国民主権を実あるものにするための行政府の制度・組織の改革等に関する請願
要旨  国会議員が立法、行政の双方において所期の責任を果たし、国民主権の政治を名実共に実現するべく、国の統治機構の制度と組織についてその中枢(ちゅうすう)部分を改革するよう求める。国家において国民主権が機能している状態とは、国民によって選出・構成された国会が立法府として機能し、立法を受けた行政が、首相と内閣の指揮・指導の下で執行されていることである。しかし日本の立法は事実上官僚層によって行われ、行政も、官僚機構の中で用意された方針を承認・決定するのが実情であり、また司法もそれに追随し、正に我が国は官僚主権国家というほかない。政治の在り方による弊害は、深刻さを増し、このため国民には、官僚支配を解体し、政治のリーダーシップが機能する体制にしなければならないことが、また、官僚支配体制の基本原因について、組織的な仕組みに問題がある、という認識が広まっている。官僚支配体制の解体策と新たな体制を提示し、確固たる意思を持って臨めば、改革を遂行できる。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国会が名実共に立法府として確立されるとともに、行政府も在るべき本来の姿に変わらねばならない。すなわち首相とその内閣の政策方針が基軸となって行政が展開していかねばならない。それにかなう組織体制と運営方法を築くこと。
 1 閣議・省議・直属スタッフ
  (一)閣議 閣議の可決要件は、まず首相を除く閣僚の採決で過半数を得て、それを受けて首相が最終決定を下すという二段階の決定方式とすること。否決された議案であっても、首相が修正・再提案を命じるなど、柔軟な運営を可能とすること。
  (二)首相の臨時の命令 首相は緊急の事態に対処する必要があるとき、閣議を経ていない事項についても閣議を待たず行政各部に指示を下し、後に閣議で事後承認を受けることができることとすること(内閣法第六条に追加規定する)。
  (三)省議 省議において当該大臣は、閣議における首相と同様な権限を持つこと。
  (四)省議メンバーとその政治任用 省議メンバーは大臣、副大臣、政務官、局長クラスとすること。事務次官は廃止すること。政務官と同じく局長クラスも政治任用職とすること。一般職から政治任用職への登用は、局長のみならず政務官、さらに副大臣についてもあり得ること。その場合は一般職から政治任用職への出向とし、離任後は一般職に復帰できるようにすること。
  (五)直属スタッフ 首相官邸及び各省庁において中枢スタッフの任免を名実共に首相及び閣僚が行うこと。その際、民間からの登用を増やすこと。これらを本格的に導入すること。
 2 予算部署の内閣直属化
    予算部署を財務省でなく内閣直属にすること。これにより、これまで各省庁の縄張り争いを主動機にした予算づくりだったものを、これからは首相のリーダーシップの下で、めりはりの効いた体系を備え、かつ時の状況や時代の変化に適切かつ臨機に対応できる予算づくりにすること。殊に巨大な借金を抱えた財政構造の手術を毎年やっていかねばならない状況であり、なおのことこういう体制を必要とする。
 3 省庁内部の改革
  (一)組織形態 従来は大臣・省議を頂点にした単一のピラミッド組織形態であった。頂点は変わらないが、その下を分化させ、二系統のピラミッド組織を並立させること。第一(A系)は定常業務に当たるライン系、第二(B系)は、トップ層の意思決定支援及びライン系への側面支援に当たるスタッフ系とすること。両系の高さはほぼ同じだが、規模はA系の方がずっと大きく裾野も広く、対してB系の規模は小さく裾野は狭い。両系の途中には幾つか渡り廊下があって人事の行き来を活発に行うこと。A系が定常的な職務の遂行に当たるのに対して、B系は日常的には調査・研究などの専門性の強い職務に当たり、高度な専門家を蓄積する役割を果たし、その調査・研究の成果は国内外に提供すること。また、特命課題が発生すると臨機応変にプロジェクトチームを組んでそれに当たるという遊撃隊のような性格を備えた組織とすること。国会への立法要請の資料作成もそうした特命課題に含めること。A系との日常的接点があり、かつ人事の行き来があることで、実践性を強く備えたシンクタンクとすること。一般職からの政治任用職の主たる供給源ともなること。

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