請願

 

第169回国会 請願の要旨

新件番号 2944 件名 細菌性髄膜炎から子供たちを守るワクチンの早期定期接種化に関する請願
要旨  細菌性髄膜炎は、後遺症が残る重い感染症であり、多くがヒブ(Hib=ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)と肺炎球菌によって起こっている。我が国では、細菌性髄膜炎に年間約一、〇〇〇人近くの子供たちが罹(かか)っていると推定されており、そのうち五%近くが死亡、約二〇%が様々な後遺症に苦しんでいる。ヒブは細菌性髄膜炎の約六割を占め、約三割を占める肺炎球菌と合わせ全体の約九割を占める。細菌性髄膜炎は早期診断が大変難しい疾病であり、近年では、菌の抗生物質に対する耐性化が進んで、これまで以上に治療が難しくなっている。細菌性髄膜炎から子供たちを守るには、感染の予防が極めて重要であり、ヒブと肺炎球菌による細菌性髄膜炎はワクチン接種にて予防できる。ヒブワクチンは一〇〇か国以上で承認され、九〇か国以上で定期予防接種されており、一九九八年には世界保健機関(WHO)が定期予防接種を推奨している。肺炎球菌ワクチン(七価ワクチン)も八〇か国以上で承認されている。ワクチンを定期予防接種化した国々では発症率が大幅に減少し、これらの菌による髄膜炎は過去の病となっている。ところが、日本ではWHOの推奨から約一〇年が経過した現在においても、ヒブワクチンは定期予防接種化されておらず、また、乳幼児に使用できる肺炎球菌ワクチン(七価ワクチン)は承認申請の段階にある。ワクチンの定期接種を受けられない我が国では、既に何百人もの子供たちの命が奪われ、一、〇〇〇名を超す子供たちが後遺症に苦しんでいる。細菌性髄膜炎から子供たちを守るために、一日も早い細菌性髄膜炎ワクチンの早期定期接種化を強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。(資料添付)

一、速やかにヒブ重症感染症(髄膜炎、喉頭蓋炎(こうとうがいえん)、及び敗血症)を予防接種法による定期接種対象疾患(一類疾病)に位置付けること。
二、肺炎球菌ワクチン(七価ワクチン)の早期薬事法承認のための手立てを講じること。

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