請願

 

第169回国会 請願の要旨

新件番号 2883 件名 長良川河口ぜきのゲートの開放等に関する請願
要旨  一九九五年七月、長良川河口ぜきのゲートが閉鎖されたが、利水、治水、環境のあらゆる面で重大で深刻な問題が起きている。長良川河口ぜきの建設目的は、四〇数年前、中部財界の提唱で、伊勢湾臨海工業地帯への工業用水を確保することであった。ところが、工業用水(給水計画・毎秒一四・八立方メートル)の需要はいまだにゼロであり、上水(給水計画・毎秒七・七立方メートル)として愛知県・知多地方に毎秒約一・六立方メートル(全体の七%)を給水しているのみである。それも当局のアリバイづくりのため、住民の意思を無視して取水口を強引に河口ぜきに切り替えての給水である。三重・北勢の一〇市町は、水余りのため、二○○六年の完全受水開始の先送りを正式に決め、三重県もこれを受け入れている。さらに愛知・知多地方では、上水の取水口を元の木曽川に戻すよう住民運動が高まるなど、利水計画は完全に破たんしている。水余りの現実に直面して当局は途中から建設目的の中心は治水であると強弁してきたが、既に治水上必要な浚渫(しゅんせつ)は終了しており、せきは不用となり、かえって洪水時等には危険な障害物となっている。河口ぜきが及ぼす環境の面では、ゲート閉鎖後、せき上流域は湖沼化し、毎年アオコが発生し、せき下流域ではヘドロが堆積(たいせき)し、ヤマトシジミはほぼ絶滅した。さらに長良川のシンボルである天然稚アユの河口ぜき魚道におけるそ上はほとんど見られず、サツキマスの漁獲高も衰退の一途をたどり、激減するなど、長良川をめぐる全生態系の破壊が進み環境悪化は深刻である。長良川河口ぜきは、利水に無用、治水に危険、環境に有害である。長良川沿川の主要な漁協や多くの釣り師は、せめて天然アユのそ上・降下時期にはゲートを上げてほしい、さらには海抜下の三重県桑名市長島町の住民は洪水時、地震時に危険となる河口ぜきを取り払ってほしいと、それぞれ切実な声を上げている。
 ついては、河口ぜきの最終的撤去を求めつつ、当面、次の事項について実現を図られたい。

一、以下の三項目のうち、全項目又は一部項目を議決すること。
 1 河口ぜきのゲートを直ちに開放し、もう一度、厳密な環境アセスメントを実施すること。
 2 同ゲートの通年開放が今すぐ困難ならば、せめて天然アユがそ上・降下する時期に開放すること。
 3 住民の意思を無視した強引な河口ぜきからの上水の給水を直ちに中止すること。

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