請願

 

第169回国会 請願の要旨

新件番号 361 件名 建設労働者の労働条件向上、安心安全の建設産業の実現に関する請願
要旨  建設投資は平成四年のピーク時から三八%減少し、建設業者数も平成一一年度末から一三%も減少している。さらに、相次ぐダンピング受注や指し値発注、下請代金切下げ・遅延・不払などが現場の建設労働者に押し付けられ、仕事と生活が脅かされている。また、追い打ちを掛けるかのように原油高、建築基準法等の改定が現場に混乱と負担を強いる状況となっている。建設産業の実状を踏まえずに建築確認が厳正化され確認申請期間が長期にわたることとなり、新たな倒産を生む事態になっている。消費不況を打開し、国と地方が財政再建を図るためには、公共事業を暮らしに役立つ福祉・防災・環境重視に転換し、中小零細企業の経営と建設労働者の労働条件改善につながる建設産業政策へ転換すること、働く者が健康で安全に人間らしく働けるルールの確立が必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、建設労働者の賃金・労働条件向上
 1 公共工事の契約に当たり建設労働者の賃金、労働条件が持続的に改善できるようにすること。
 (一)ダンピング受注や指し値発注によって建設現場で働く労働者の賃金が切り下げられたり、賃金の不払問題が発生しないよう建設業界への指導監督を強化すること。ダンピング受注を防止するために最低制限価格などの失格基準を設けること。
 (二)二省協定の設計労務単価は、市場調査と標準生計費を考慮の上、建設労働者が健康で文化的な暮らしができるような価格とすること。
 (三)低入札工事において労働者・下請業者に対して、不当な低単価を押し付ける請負者に、建設業法第一九条の三を活用するなど改善指導を行うこと。
 2 官公需法に基づく中小業者向け発注率を増やすとともに、年度目標を達成すること。土木工事の施工に当たり、設計図書に含まれる「ダンプ規制法」第一二条団体等の使用促進を全請負者に徹底すること。
 3 原油値高騰問題について、中小零細建設業者に対する負担軽減措置を緊急実施すること。
 (一)ガソリン税・軽油引取税などの暫定税率の廃止、高速料金の値下げを緊急に実施すること。
 (二)下請からの資材・燃料費等の価格転嫁を認めるよう元請・発注者への指導を徹底すること。
 4 社会資本整備において、国の責任を放棄し地方切捨て、国民の安心・安全の切捨てにつながる民間開放・地方委譲は行わないこと。また、公共事業費の予算配分を防災・生活関連・維持管理に重点配分するとともに、国土交通省の地方整備局・事務所・出張所の組織を拡充し、災害時でも迅速に対応できる体制にすること。
二、建築基準法改定問題
 1 当面する中小零細の設計事務所・建築業者の救済対策として、セーフティーネット金融支援制度の拡充、借換融資活用など、利用しやすい制度にし、広報に努めること。
 2 地域の建築関係者の意見を十分に聴き、地域の建築生産の実態を踏まえた運用と制度改善を引き続き検討すること。
 3 当面する構造計算適合性判定機関の審査の合理化とともに、判定員の確保による判定機関の体制拡充について、国が財政措置を含めた対策を早期に行うこと。また、確認検査機関の円滑化対策についての統一的な対応と建築主事等の審査・検査体制充実を行うこと。

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