請願

 

第169回国会 請願の要旨

新件番号 87 件名 教育の公平を目指し、父母負担を軽減し、行き届いた教育を進めるための、私立高校以下への国庫助成制度の拡充に関する請願
要旨  日本の公教育は、公立学校と私立学校の両輪によって支えられ、私学は、独自の教育を創造し、教育改革の先陣を担ってきた。しかし、私学を取り巻く環境と条件は、少子化、不況とも重なって、極めて深刻な事態となっている。最大の問題は、学費と教育条件の大きな公私格差である。愛知県の私立高校の初年度納付金は、公立と比べて五・一倍の開きがあり、経済的理由で退学する生徒や授業料の滞納者が増えるとともに、学費負担から私学を選択できない事態が年々強まり、存亡の危機に直面する学園さえ出始めている。教育条件についても、専任教員数の格差は深刻であり、私学の充足率は公立の八〇%で、きめ細かな教育や多彩な教育改革の推進にも、支障を来している。愛知県では、平成一一年に、私学助成は総額で一五%、高校生一人当たり約五万円もカットされたが、一〇年度と比べて、高校生一人当たりの教育費が五万五千円増額されているのに対して、私学助成は二万円減額されている。そのため、学園財政が逼迫(ひっぱく)し、専任教員増もできず、教育改革にも支障を来している。私学助成の削減、抑制の動きは、どの都道府県でも強まっており、今日ほど、国の支えとリーダーシップが求められているときはない。国では、「骨太の方針2006」によって、私学助成の五年連続、一%削減が打ち出され、大学では削減が実施された。高校以下については、二〇年度予算で、その影響が出るのではないかと懸念されている。そうなれば、国の助成(基準単価)を土台としてきた都道府県の私学助成は、極めて深刻な事態となることは明らかである。地域間格差だけでなく、公私立間格差はますます拡大し、私学教育の衰退を招きかねない。教育は国家百年の大計であり、教育の危機が叫ばれている今日、教育の創造と多様性を使命とする私学の役割は重要になっている。
 ついては、二一世紀を担う子供のため、次の事項について実現を図られたい。

一、私立高校以下の国庫助成制度を拡充すること。
二、授業料など教育費の父母負担を軽減するため、授業料直接助成を実現すること。また、教育費支出に対する課税控除を実施すること。
三、私学が公立と同一水準の教育条件を確保するために、専任教職員増を主に、教育改革の促進を目的とした特別助成を実現し、拡充すること。

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