請願

 

第168回国会 請願の要旨

新件番号 1139 件名 身近な地域で安心して出産ができる助産所の存続に関する請願
要旨  二○○六年に成立した改正医療法第一九条によって、助産所の開設者が嘱託する医師と病院(又は診療所)を定める規定が強化された。改正は、出産の異常時等における母子の安全を確保することが趣旨であるが、産科医師や地域の産科病院や診療所が不足する中、嘱託する医師や病院を確保することは極めて困難である。問題は、本来機能すべき地域医療体制や周産期医療システムの整備が不十分であるために、妊産婦・新生児の緊急時搬送体制が整っていないことにあり、このまま施行されれば、助産所は、開業はもとより存続さえ困難になる。出産の八割は正常分娩(ぶんべん)であり、助産師が十分担えることは既に証明されている。助産所は妊産婦に寄り添った出産のみならず、子育て支援を行う等、重要な役割を果たしており、身近な地域で安心して出産できる助産所を失うことは、女性にとっても社会にとっても大きな損失である。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、改正医療法第一九条の施行を、当分の間、凍結すること(当分の間とは、産科医師や地域の産科病院等の不足の解消、又は下記二、三が整備されるまでの間をいう)。
二、参議院厚生労働委員会の附帯決議(二○○六年六月一三日)に基づき、国及び地方自治体が、責任を持って助産所の嘱託医・嘱託医療機関を確保すること。
三、国は、各都道府県の総合周産期母子医療センター、各地域の中核病院や公的医療機関が助産所や診療所からの緊急搬送を円滑に受け入れられるようネットワークを強化するとともに、医療機関と消防・自治体などの連携による緊急医療体制を整備すること。
四、国は、各都道府県における助産師養成枠の増加と質の高い助産師教育を促進すること。
五、産婦人科医の養成を促進するとともに、産婦人科の女性医師が働き続けられる条件を整備すること。
六、産婦人科医、小児科医の待遇を改善すること。
七、産科の周産期過程における事故の無過失補償制度の充実を図ること。

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