請願

 

第168回国会 請願の要旨

新件番号 844 件名 原子力発電等に関する請願
要旨  エネルギー資源の乏しい我が国にとって、国民生活の維持向上と社会経済の発展に必要な電力を確保することは、極めて重要な課題となっている。国においては、各種エネルギー資源の開発について対策が講じられているが、原子力発電に関する施策は必ずしも十分とは言えない。また、七月に発生した平成一九年新潟県中越沖地震においては、東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所で設計時の想定を大きく上回る加速度が観測され、変圧器火災や放射性物質の漏えいなど、これまで経験していない多数のトラブルが発生し、地域住民を始め原子力発電施設等を有する道県民、さらには、国民の間で、原子力発電施設等の耐震安全性や火災に対する初期消火活動体制などの防災対策に対して、大きな不安を抱かせ、原子力行政の根幹を揺るがす事態となった。さらに、過去に発生した高速増殖原型炉「もんじゅ」の事故や株式会社ジェー・シー・オーの臨界事故、東京電力株式会社による自主点検記録等の記載に係る不正問題、関西電力株式会社美浜発電所三号機の二次系配管破損事故及び各電力会社で相次いで発覚したデータ改ざんと臨界事故などの重大なトラブルの隠ぺい等は、原子力行政の体質、体制が厳しく問われるものであり、原子力発電施設等の安全性はもとより、国の安全規制に対する国民の不安感、不信感を増大させるものである。電力自由化の進展など、エネルギーをめぐる社会情勢が変化している中で、国が進める核燃料サイクルに対しても、国民の理解、コンセンサスが十分得られているとは言えない。国においては、原点に立ち返り原子力政策に対する一層の国民の合意形成を図るとともに、原子力発電施設等の安全性の確保と防災対策の確立、原子力発電に関する国民の理解と協力を得るための分かりやすい広報の徹底、さらには、電源立地地域の振興を図るための総合的な施策の確立など、その充実強化が強く求められる。一方、各道県で国民保護計画が作成され、運用の仕組みづくりに取り組んでいるが、平成一八年七月の北朝鮮による弾道ミサイルの発射、同年一〇月の核実験の実施は、国民、取り分け原子力発電施設等が立地している道県民に大きな不安を抱かせており、国民の財産を守り、安全・安心を確保するための方策が求められる。
 ついては、次の措置を速やかに採られたい。

一、原子力発電施設等(核燃料サイクル施設を含む。以下同じ。)の安全対策及び防災対策並びに周辺環境整備に係る予算枠の拡大を図ること。
 1 エネルギーの安定供給、経済性及び地球環境保全等の面から、我が国は今後とも原子力発電に依存せざるを得ない状況にあり、原子力発電施設等の安全対策及び防災対策並びに周辺環境整備の更なる充実強化を図るため、国の関係予算枠を拡大すること。
 2 地方自治体で事実上行っている安全対策、立地対策について、国・地方自治体の役割分担を明確にするとともに恒久的な財源措置を講じ、防災対策についても同様の財源措置を講じること。

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