請願

 

第168回国会 請願の要旨

新件番号 840 件名 原子力政策を安全優先の立場で根本的に見直すことに関する請願
要旨  各地で運転・建設されている原子力発電所及び原子力施設のどこで、いつ大事故が起きるか分からない。それは、相次いだ事故・トラブル隠しや不正検査事件などに対して、国と電力会社には、根本的な反省も、再発防止への取組も全く見られないからである。日本の原発史上最悪となった美浜三号機死傷事故(二○○四年八月)は、検査すべき配管を運転開始以来二十八年間も放置したまま運転してきた結果起きたもので、老朽原発の危険を象徴している。国と電力会社は、地震対策、緊急時対策などをさぼる一方、六十年間の寿命延長、プルサーマル計画の導入などを図り、これまで以上に酷使しようとしている。こうした営利優先・安全無視の運転が許されるのは、日本には独立した原子力の安全規制体制がないからである。日本の原子力政策はあらゆる面で行き詰まっているが、背景には、原発技術が未成熟であるにもかかわらず、原発推進政策を強行したり、「天然ウランのほとんどすべての利用を可能」(第三回原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画)とプルトニウム利用を進める核燃料サイクル政策を主流と位置付けてきた原子力政策がある。原子力委員会が現在進めている第十回原子力長期計画では、これらの実態を徹底して解明するとともに、原発推進政策と核燃料サイクル政策の根本的な見直しが求められる。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、原発推進政策とプルトニウム利用を進める核燃料サイクル政策を根本的に見直すこと。地震対策・緊急時対策などの確立、老朽原発の六十年寿命延長・プルサーマル計画・使用済燃料の中間貯蔵計画などの導入中止、老朽原発の順次廃止、原発の新増設計画の中止、安全で再生できるエネルギーの積極開発など、安全最優先の立場からの見直しを行うこと。
二、原子力の安全規制を担う組織は、原子力を推進する役所から完全に独立させること。国際的な基準に基づいて厳格な規制と総点検を行うこと。美浜三号機事故など原発・原子力施設の事故については、再発防止を優先にして、第三者機関による公正かつ徹底した原因究明と再発防止策を行うこと。
三、原子力政策は、原子力委員会が決めるのではなく、広く国民の意見を聴き、それらの意見を尊重して、国会の審議を経て決めるようにすること。

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