請願

 

第168回国会 請願の要旨

新件番号 388 件名 株式公開会社の株式に関して会社法第四百六十九条等(反対株主の株式買取請求)に基づき売却する場合の課税方法に関する請願
要旨  近年、会社の事業再構築等として支配株主やファンドによる株式公開買付け(以下「TOB」)やそれに続き事業譲渡等が実施される例が増えている。現行の税制によると、少数株主がTOBに応募した場合には譲渡課税が適用され、それが株式取得単価を下回る場合は、譲渡損失となるため課税されない。その一方、TOBに応募せず、それに続く事業譲渡に対して、会社法第四六九条等に基づく株式買取請求権の行使により、公正な価格にて保有株式の買取りを求めた場合には、株式取得単価を下回る値段であっても法人税法及び所得税法の規定により、みなし配当所得が発生することがあり、その税率は最大四三・六%に及ぶため、株式買取請求を行った株主の株式売却代金の手取り額は大幅に減少する。その結果、時価や企業価値を大幅に下回るような低価格のTOBであっても、それに応じる方が税制的には有利である場合も生じる。このような税制は、一般個人株主等の少数株主を虐待する一方、支配株主やファンド等の公開買付者が不当な安値によって株式を取得することを支援しているのと同じ結果となり、課税の中立性に反する。TOBに応じた場合も、買取請求を行った場合等も、ひとしく譲渡所得の区分により課税されるよう求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、TOB後に株式会社が事業譲渡(営業譲渡)した場合において、残存少数株主が事業譲渡に反対して株式買取請求を行い当該株式を売却した場合には、みなし配当の例外として規定すること。
二、株式会社が普通株式に全部取得条項を付し、その後当該普通株式を全部取得して一株の端数を割り当てた場合、残存少数株主が会社法第一七二条の規定により公正な価格の決定を求め、当該株式を売却したときも、TOB応募による株式売却と同様に、譲渡所得となることを所得税法施行令に明示すること。
三、TOBに応じない場合の所得税法上の扱いについて、公開買付者に開示を義務付けること。

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