請願

 

第168回国会 請願の内閣処理経過

件名 身近な地域での安心して産める場所の確保に関する請願
新件番号 766 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H20.6.4
処理要領 一 現在、特定の地域や診療科で医師の不足が深刻になっているため、平成十九年五月に政府・与党においてとりまとめた「緊急医師確保対策について」に基づき、医師が不足している地域や診療科で勤務する医師の養成を推進するため、大学医学部定員の増加等を行っており、これらの施策を速やかに具体化し、実効性のある対策を講じてまいりたい。
 また、地域において安心・安全なお産ができる体制を確保し、限られた医療資源を効率的に活用するという観点から、産科医師との適切な役割分担・連携の下、正常産を扱うことができる助産師を活用する体制の整備を進めることが重要である。このため、平成十八年度には、助産師確保総合対策事業を創設し、産科診療所における助産師確保の施策に取り組むとともに、平成十九年度には従来からの助産師養成所に対する補助に加え、開校を控えた定時制の養成所に対して教員の確保に必要な経費の一部を助成する事業を創設したところである。今後とも、助産師の養成の促進を始めとした確保対策に取り組んでまいりたい。
二 地域において安心・安全なお産ができる体制を確保し、限られた医療資源を効率的に活用するという観点から、産科医師との適切な役割分担・連携の下、正常産を扱うことができる助産師を活用する体制の整備を進めることが重要である。このため、政府としては、平成二十年度予算において、医師と役割分担しながら、病院内で助産師が正常分娩を扱う院内助産所や、妊産婦健診や保健指導等を行う助産師外来の開設に必要な施設や設備に対する支援を行うこととしており、院内助産所や助産師外来の開設の促進に努めてまいりたい。
三 産科医療については、限られた医療資源を重点的かつ効率的に配置して、医療機関相互の連携体制を構築していくことが大変有効である。このため、都道府県が中心となり、地域の医療関係者や住民の意見などを踏まえて病院の拠点化を進めているところである。その際、地域の病院の外来機能と拠点病院の医療との連携を図る等、その地域の患者の医療へのアクセスに十分配慮した上で対応していくことが重要である。
また、リスクの高い妊産婦や新生児等に対し高度の医療が適切に提供されるよう、各都道府県において、周産期医療の中核となる総合周産期母子医療センターの整備や、助産所を含めた地域の医療施設と高次の医療施設との連携体制の確保などを目的として、周産期医療ネットワークの整備を計画的に進めているところである。さらに、周産期医療体制の整備の中で助産所の果たす役割を明確にするための通達を平成十八年十月に発出している。こうしたことにより、周産期医療ネットワークの整備を図っているところである。
さらに、産科医確保対策としては、医療事故における死亡の原因究明・再発防止を図る仕組みの検討や産科医療補償制度の早期実現を図るとともに、産科に多い女性医師の就労を支援するための女性医師バンクの相談体制の強化や院内保育所の整備等を推進しているところである。
これらの施策の実施を通じて、引き続き、安心して出産できる環境の確保に取り組んでまいりたい。
四 嘱託医師及び嘱託医療機関が確保されるよう、政府としては、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第十九条等の規定の施行に当たり、嘱託医師及び嘱託医療機関の確保を円滑に行うために運用上留意すべき事項について、平成十九年十月三日に開催された全国看護行政担当者説明会において説明するとともに、その周知徹底を図るため、「分娩を取り扱う助産所の嘱託医師及び嘱託する病院又は診療所の確保について」(平成十九年十二月五日付け医政発第一二〇五〇〇二号厚生労働省医政局長通知)を各都道府県及び医療関係団体あてに発出し、さらに平成二十年二月二十五日に開催された全国医政主管課長会議においては、各都道府県に対し、引き続き助産所の嘱託医師及び嘱託医療機関の確保に向け必要な支援を行うよう呼びかけ、確保困難な事例等については、個別の事情に応じた助言を行うなどの対策を講じてきたところである。こうした取組を通じ、平成十九年度末時点で、嘱託医師及び嘱託医療機関の確保を希望している二百八十二箇所の助産所全てについて嘱託医師及び嘱託医療機関が確保されたとの報告を各都道府県から受けたところである。
 今後とも、政府としては、助産所における分娩の安全確保を始め、周産期医療に関する各般の施策を講じ、地域における産科医療体制の確保に努めてまいりたい。 

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