請願

 

第166回国会 請願の要旨

新件番号 2159 件名 日本農業に甚大な打撃を与える日豪FTAの交渉の中止とFTA・EPA促進路線の転換に関する請願
要旨  日豪両政府は、昨年一二月、FTA(自由貿易協定)を中心とするEPA(経済連携協定)締結に向けた交渉の開始を合意した。アメリカに次いで我が国が食料を依存しているオーストラリアは、米、小麦、乳製品、牛肉、砂糖など農畜産物の関税撤廃を求めている。撤廃されれば、我が国の農業が受ける被害は甚大であり、農水省は関税撤廃によって農業生産だけで約八、○○○億円も減少すると試算しており、関連産業への影響も加えれば、地域社会の崩壊を招きかねない。しかも、オーストラリアに譲歩すれば、アメリカやカナダからも大幅譲歩を強要されることが予想され、国内農業と地域経済への計り知れない影響が危惧(きぐ)される。日豪FTA交渉は、大企業が要求する工業製品の輸出に対する関税撤廃と投資を拡大するために、日本の農産物市場を明け渡すことにあり、大企業の利益のために国内の農業生産と地域社会を犠牲にすることは許されない。オーストラリアは昨年から今年にかけて干ばつに見舞われ、米や小麦が減産したことに見られるように、生産力が著しく不安定である。食料自給率四○%の日本が国内農業を犠牲にして、こういう国に食料を依存することは、我が国の食料安全保障に禍根を残す。政府は昨年、マレーシア、フィリピンとEPAを締結、タイ、インドネシア、チリ、ブルネイと大筋合意に至り、財界の意に従い、FTA・EPAの締結を加速させている。しかし、これらは、東南アジアの国々との間で合意された熱帯果実の輸入関税の削減・撤廃を始め、フィリピンやインドネシアとの合意にある労働者の輸入や、フィリピン、タイを日本の産業廃棄物の捨場にする問題などを抱えている。WTOやFTA・EPAがよって立つ農産物の自由化万能論では、世界に広がる飢餓や貧困は解決できないことは明らかであり、食糧主権に基づいた貿易ルールと農業・食料政策の確立が急務である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、政府は日豪FTA締結に向けた交渉を中止すること。
二、政府はFTA・EPA促進路線を転換し、国内生産を拡大して食料自給率を向上させるための施策を強めること。

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