請願

 

第166回国会 請願の要旨

新件番号 1815 件名 公営住宅に関する請願
要旨  国土交通省は平成一六年、公営住宅の入居収入基準を二一%引き下げ、家賃制度を抜本的に改定する政令改正のため、意見公募を実施した。その根拠は、民間住宅の賃金水準や世帯所得の変化と、最近の公営住宅の応募倍率の上昇を理由としている。公営住宅制度が創設された当初は、八割の国民が入居できたが、次第に引き下げられ、平成八年の改定では、国民の四分の一までしか入居できなくなった。また、公営住宅法第三条では国と地方公共団体に、公営住宅の供給が義務付けられているが、都市部の地方公共団体の多くが、新たな公営住宅の建設を放棄しており、これが公営住宅入居の門戸を狭め、応募倍率上昇の要因となっている。今回の政令改定では、入居の収入基準が月収二〇万円から一五万八千円と二割以上も低くしており、公営住宅への入居がますます困難となる。多くの国民は、派遣・パートなどで低賃金に苦しめられ、税金や国民健康保険、介護保険、医療などの負担増で、生活が圧迫されており、これが公営住宅の応募率を高くしている原因と言える。国民の要求や期待にこたえ、公営住宅の供給を拡大し、入居収入基準を引き下げないよう求める。今回の家賃制度の改定は、抜本的で、大幅な負担増を入居者に押し付けるもので、低所得者や高齢者をねらい撃ちにしている。国土交通省は、公営住宅の家賃が民間に比べ、著しく低く、不公正だと言っているが、家賃が必ずしも安いと言えない。家賃を市場や民間と比較するのではなく、世帯所得の実態との関係を重視すべきである。公営住宅入居者は、高齢世帯が多く、税制改革と、介護・医療改革等による負担増に苦しめられており、さらに家賃の大幅引上げは、生活破壊につながる。公営住宅家賃に関する政令改定を撤回し家賃値上げをしないよう求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、公営住宅に入居するときの収入基準の上限を引き下げないこと。
二、公営住宅家賃の大幅引上げにつながる政令改正を撤回し、公営住宅の家賃を値上げしないこと。

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