請願

 

第166回国会 請願の要旨

新件番号 1205 件名 再び戦争と暗黒政治を許さないための治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願
要旨  戦前、天皇制政治の下で主権在民を唱え、侵略戦争に反対したために、治安維持法で弾圧され、多くの国民が犠牲を受けた。治安維持法が制定された一九二五年から廃止されるまでの二〇年間に、逮捕者数十万人、送検された人七五、六八一人、虐殺された人八〇人以上、拷問、虐待などによる獄死一、六〇〇人余、実刑五、一六二人に上っている。戦後、治安維持法は、日本がポツダム宣言を受諾したことにより、政治的自由の弾圧と人道に反する悪法として廃止され、この法律によって処罰された人々は無罪とされたが、政府は謝罪も賠償もしていない。ドイツでは連邦補償法で、ナチスの犠牲者に謝罪し賠償している。イタリアでも、国家賠償法で反ファシスト政治犯に終身年金を支給している。アメリカ・カナダでは、第二次世界大戦中、強制収容した日系市民に対し、一九八八年に市民的自由法を制定し約二万ドル(二五〇万円)を支払い、大統領が謝罪している。韓国では、治安維持法犠牲者を愛国者として表彰し、犠牲者に年金を支給している。日弁連主催の人権擁護大会(一九九三年)は、「治安維持法犠牲者は日本の軍国主義に抵抗し、戦争に反対した者として…その行為は高く評価されなければならない」と指摘し、補償を求めている。
 ついては、再び戦争と暗黒政治を許さぬため、次の事項について実現を図られたい。

一、国は、治安維持法が人道に反する悪法であったことを認めること。
二、国は、治安維持法犠牲者に謝罪し、賠償を行うこと。
三、国は、治安維持法による犠牲の実態を調査し、その内容を公表すること。

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