請願

 

第166回国会 請願の要旨

新件番号 279 件名 アスベスト被害の根絶と補償、建設労働者の労働条件向上に関する請願
要旨  アスベスト(石綿)による健康被害が社会問題になったが根本解決は図られていない。政府は被害の可能性を三○年前から認識しながら対策を講じることなく健康被害を拡大してきた。昨年、成立した「アスベスト新法」もすべての被害者を救済するという当初の目的を果たすものとはなっておらず、早急な改善が必要である。建設産業に働く労働者は、公共事業費の急激な減少の一方で、低入札受注問題が深刻な実態に陥っており、公共事業の質を低下させるとともに現場労働者の労働条件悪化や産業廃棄物の不法投棄などの違法行為も引き起こしている。さらに、耐震偽装問題では、従来の建築確認制度の不備が浮き彫りにされ、これを放置してきた国・国土交通省の責任が問われる状況となっている。建設産業の技術力・技能を正しく継承し、良質な社会資本を整備する建設産業としての役割を十分に果たすことが求められている。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、アスベスト被害の根絶と補償
 1 アスベスト製品を含む建設資材を建設現場において使用しないよう指導監督を強化すること。
 2 アスベスト関連職場労働者に対する健康被害防止策を徹底し、石綿教育の徹底と取扱いに関するマニュアル等の周知徹底を図ること。
 3 いわゆる一人親方・事業主についても、労災補償の対象として救済すること。
二、建設労働者の賃金・労働条件向上
 1 公共工事において、現場労働者に適正な賃金の確保が行われるよう「公共工事における賃金確保法(公契約法)」を制定すること。
 (一)当面積算された設計労務単価を下回って支払われることのないよう、監督検査事項などを活用して公共工事受注業者を指導監督すること。
 2 建設工事現場における労働災害を一掃するため建設業界に対する指導監督を強化すること。
 (一)公共工事における労働災害を撲滅するために、生公連や建設首都圏共闘会議を含む労働者代表(以下「労働者代表」)の参加と、建設現場における労働者代表の監視活動ができるような法制度若しくは省令等を制定すること。建設現場における労働災害の一掃のために労働者代表を労災防止指導員に任命し労働基準監督署と共に労働災害防止活動を推進する体制を確立すること。
 (二)じん肺の予防のために、トンネル建設工事における労働時間について、設計労務単価歩掛りにおいて拘束一一時間、実働一○時間を改めると同時に、八時間労働の完全実施を指導し、粉じん曝露(ばくろ)時間の削減を図ること。
 (三)労働安全衛生法に基づく安全衛生対策を法的に義務付け、公共工事においては契約条項として請負者に履行させることを指導し、徹底されるように追加すること。
 3 建設労働者の労働条件引下げにつながり、中小零細建設企業の経営を圧迫するおそれがある、建設雇用改善法に基づく、実質的な労働者派遣の対象としないよう働き掛けること。
 4 建設現場で働くすべての労働者に建設業退職金共済制度に基づく退職金を保障するため、建退共制度の普及徹底、建退共証紙貼付(ちょうふ)の確認、建退共証紙の不正流用などの防止策を講じ、公共工事においては監督検査事項を追加して指導・監督できる発注者の根拠と体制を確立すること。

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