請願

 

第166回国会 請願の要旨

新件番号 193 件名 高等教育予算の大幅増額、私大経常費二分の一補助の実現、父母・学生の学費負担軽減に関する請願
要旨  私立大学・短期大学(以下「私大」)は学生数で七五%、学校数で八〇%を占め、国民の高等教育を受ける権利を保障する役割を担っている。私立学校振興助成法と国会附帯決議(一九七五年)は、私大の振興を図るため、私大経常費の二分の一補助の早期達成を目標として定めている。ところが私大経常費への補助率は、一九八〇年度の二九・五%をピークに減少し、二〇〇四年度には一一・九%まで低下している。また私大への国費支出は、国立大学と比べておよそ五分の一、学生一人当たり一八分の一程度しかなく、大きな格差がある。経常費補助が長年低水準に据え置かれたため、私大の教育研究条件の改善・充実を学費に依存せざるを得ない構造がつくり出され、国立大学の一・七倍もの高学費の要因になっている。このため、進学や修学を断念せざるを得ない生徒・学生が毎年生まれている。さらにここ数年、経常費補助のうち教育研究の基盤を充実させる一般補助が抑制・削減され、特定分野に対する特別補助が増額されている。これでは学費負担の軽減は進まず、逆に学部・大学間の格差拡大が進み、私大全体の教育研究の向上を図ることは困難である。世界的に見ても日本の高等教育予算はOECD加盟国の中で最低水準であり、また国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項を留保し続けているなど、日本の高等教育政策は余りに貧困と言わざるを得ない。大学が本来持つ機能・役割を自立的に果たすことによって、地域・日本・世界の発展に貢献するためには、高等教育予算を大幅に引き上げることが必要である。そして私大全体の教育研究条件の改善・充実を進め、父母・学生の学費負担を軽減する総合的な施策を実現し、だれもが安心して大学教育を受けることができるようにすることが求められる。
 ついては、当面、次の措置を速やかに採られたい。

一、高等教育予算をOECD平均並み(対GDP比一・〇%)に増額すること。
二、一般補助を軸に、私大経常費二分の一補助の実現をすること。
三、父母・学生の学費負担を軽減するため以下の施策に取り組むこと。
 1 学費直接助成制度を実施すること。
 2 育英奨学事業について、無利子枠の拡大、給費制の創設など改善・充実を図るとともに、奨学金受給率の国公私立間の格差を是正すること。
 3 私学教育費減税を実現すること。
四、大学が実施する経済的に修学困難な学生に対する奨学事業への補助を以下のように改善すること。
 1 経常費補助から分離・独立させること。
 2 国立大学の学費減免制度と同水準の予算措置を行うなど、補助額の大幅な増額を図ること。
五、国際人権規約(C)高等教育の漸進的無償化条項の留保を撤回すること。

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